日本精神医学を形成したヨーロッパの精神医学

松下先生と影山先生が編集した巨大な知的遺産である『現代精神医学の礎』。もともとは1970年代から80年代にかけて雑誌『精神医学』に連載された翻訳である。全部で四巻。この時期の日本の医師たちが持っていたドイツ語とフランス語の力があらためて素晴らしい。私も一覧表にして張っておくことにしました。

 

第一巻 精神医学総論

W.グリージンガー 「精神的反射作用について―精神疾患の本質瞥見」
J.H.ジャクソン 「神経系の進化と解体 」
A.クラマー 「発声器官の筋感幻覚」
S.コルサコフ 「Wahnsinnの急性形に関する問題について」
J.セグラ 「幻覚」
P.ジャネ 「強迫症と精神衰弱―心理現象の階層的秩序」
E.ブロイラー 「精神病の症状のなかにみられるフロイト機制」
A.ホッヘ 「精神医学における症状群の意義について」
L.クラーゲス 「夢意識について  第Ⅱ部 夢のなかの覚醒意識」
E.クレペリン 「精神病の現象形態」
G.ドゥ・クレランボー 「精神自動症と自我分裂」
E.ミンコフスキー 「精神病理学に適用されたベルグソンの思想」
K.ビルンバウム 「精神疾患の構成」
H.クンツ 「精神病理学における人間学的考察方法」
R.アッシャー 「ミュンヒハウゼン症候群
付 精神医学主要文献年表/総目次/人名総索引

 

第二巻 統合失調症・妄想
E.ヘッカー 「破瓜病―臨床精神医学への一寄与」
K.カールバウム 「緊張病―精神疾患の一臨床類型」
K.カールバウム 「類破瓜病について」
A.マイヤー 「早発性痴呆の力動的解釈」
P.シャラン 「不統一精神病暫定群」
H.クロード, A.ボレル, G.ロバン 「早発痴呆と類分裂病分裂病
K・シュタウダー 「致死性緊張病」
G.ジルボーグ 「アンビュラトリィ・スキゾフレニア」
C.ラセーグ 「被害妄想について」
C.ラセーグ,J.ファルレ 「二人組精神病あるいは伝達精神病」
M.フリードマンパラノイア学説への寄与」
G.バレ 「慢性幻覚精神病」「慢性幻覚精神病および人格の解体」 
J.カプグラ 「解釈妄想病」
J.ルブール‐ラショー, J.カプグラ 「慢性系統性妄想における《瓜二つ》の錯覚」
P.ジャネ 「迫害妄想における諸感情」
W.フォン・バイヤー 「同形妄想について」
G.ドゥ・クレランボー 「ふたつの妄想の共存―被害妄想と恋愛妄想」
付表 <Kraepelin疾病分類変遷表>

 

第三巻 神経心理学 / 脳器質性疾患・外因精神病
P.ブローカ 「話し言葉の喪失-大脳の左前葉の慢性軟化と部分的破壊」
T.リボー 「記憶の病」
A.ピートル 「博言家の失語症についての研究」
R.バリント 「"注視"の精神麻痺、視覚失調、空間性注意障害」
S.コルサコフ 「多発神経炎に合併する神経障害-多発神経炎性精神障害または中毒性精神病性脳障害」
C.ヴェルニッケ 「急性幻覚症」
A.ピック 「病巣症状を基礎とした老人性脳萎縮」
K.ボンヘッファー 「外因性精神病の問題について」
K.ボンヘッファー 「外因反応型」
W.フォン・ヤウレック 「進行麻痺に対するマラリアの効果について」
H.G.クロイツフェルト 「中枢神経系の独特な一巣性疾患について(暫定的報告)」
W.クライネ 「周期嗜眠症」
H.ベルガー 「ヒトの脳波について」
H.ビンダー 「アルコール酩酊状態について」
F.マウツ 「痙攣発作素質」
E.クレッチュマー 「失外套症候群」
V.フォン・ゲープザッテル 「嗜癖精神病理学

 

 

第四巻 気分障害非定型精神病 / 児童精神医学 /精神科治療 / 社会精神医学・司法精神医学
J-P.ファルレ 「循環精神病あるいはマニーとメランコリーとの規則的交替によって特徴づけられる精神病の1型について」
K.シュナイダー 「感情生活の成層性と抑うつ状態の構造」
P.シュレーダー 「変質精神病(易変性疾患)について」
K.クライスト 「循環様,妄想様,てんかん様精神病と変質精神病の問題について」
K.フォン・ゲープザッテル 「離人症問題に寄せて―メランコリー理論への一寄与」
H.ヴァイトブレヒト 「情動精神病にみる未決定の諸問題」
G.ジル・ドゥ・ラ・トゥーレット 「反響言語症および汚言症を伴う非協調運動の特徴をもった神経疾患についての研究」
L.カナー 「情緒的接触の自閉的障害」
P.ピネル 「精神病あるいは狂気に関する医学=哲学的論稿 第1版第6部 精神病者の医学的治療の原則」
A.ツェラー 「ヴィンネンタール療養所の活動,第2報―1837年3月1日から1840年2月29日まで 」
H.シモン 「精神病院におけるより積極的患者治療」
U.チェルレッティ 「電撃」
A.シュトリュンペル 「災害患者の診断,判定および治療について」
S.J.M.ガンゼル 「特異なヒステリー性もうろう状態について」
J.レッケ 「既決囚におけるヒステリー性昏迷」
E.クレペリン 「比較精神医学」
K.ビルンバウム 「詐病と変質性基礎に基づく一過性疾病状態」
R.ガウプ 「パラノイア性大量殺人者教頭ヴァーグナーの病と死――断案」
K.ウィルマンス 「精神分裂病前駆期における殺人について」