エリザベス女王と天然痘の傷跡

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昨日は夕刻に映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』を観た。イギリスの歴史映画は、だいたい実佳とともに大好きで、点が甘くなるのは事実だけれども、非常に優れた映画である。史実に関して、特に性的な描写と人種の描写に関しては、現代にかなり寄っている部分がある。性的な振舞いは戦略に沿って自由奔放に描いているし、人種に関しては、アフリカ系、中近東系、アジア系の俳優が数多く用いられている。史実に合っているのかなあと思う。しかし、全体のメッセージに関しては、二人の女王が、どのようにして支配者を行うのかという話を深く描いていて、とても面白い。

実は、同じ史実のジャンルだけれども、強調されているエピソードは、エリザベスが33歳の時に罹患した天然痘である。この天然痘はエリザベスの顔にすさまじい爪痕を残していき、その後も髪の毛や対人関係に大きな影響を与えた。別の人格になったといってもいいし、メアリーへの対応が明らかに非常に深いものを持つようになった。史実の中で、天然痘だけを強調するのは、医学史だけが喜ぶ視点である。でも、私は大いに共感した。それと同じように、ジェンダー、セックス、人種など、現在でも重要な部分が強調されるのだろうなと思う。