ラクロ『危険な関係』と成人後の天然痘

Laclos, Choderlos de and 武彦 伊吹. 危険な関係. vol. 赤-1162,1163, 赤(32)-523-1,2, 6809-6814, 岩波書店, 1965. 岩波文庫.

金曜日に映画を観て、16世紀の天然痘の人格への影響を知った。エリザベスが30歳の時に天然痘となったこと、美しかった顔貌が大きな変化が現れたこと、それに伴って人格が良い方向に変わったことなどである。18世紀初頭もそうであり、人痘を導入したモンタギューも成人後の天然痘が大きな影響になる。それから、これはフィクションだが、18世紀末のラクロの『危険な関係』では、邪悪な女主人公のメルトゥイユ侯爵夫人が最後で天然痘にかかった。これはダメ押しという感じであるが、彼女が失墜し、排斥され、無視され、訴訟で敗訴した後に、天然痘にかかる。そのダメージは非常に大きくて、顔貌が大きくそこなわれ、破滅が決定的になり、周囲の人々は、心の中がそのまま外に明らかにされるようになったという。

私はグレン・クローズが主演した映画を観たが、そこでは天然痘のエピソードは組み込まれていなかった。