野菜と山菜と有用植物

草川俊. 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版, 1992.
草川俊. 有用草木博物事典. 東京堂出版, 1992.
Kerr, Julie. Life in the Medieval Cloister. Continuum, 2009.

草川俊という人物の名前を聴いたのは数週間前である(恥)宇都宮で高等農林学校で農業を学び、山梨で農業指導にあたり、そして中国というか満州に行って農業指導に赴いた。そこで満州人や中国人に綿花の栽培を教えたとのこと。中国の東北部をめぐってソ連と対立し、戦争では敗北するという彼から見ると屈辱があったが、日本の農学を学んだ官僚は、中国の農民と一緒に土まみれになることが彼に誇りを与えていた。うううむ。

しかし、日本語の文章がとても面白い。植物学的な知識、農学的な栽培の件、民間療法につながる有用性などをうまくまとめて、そこに万葉集斎藤茂吉などから引用している。若い時期には直木賞に推薦される優れた作家であったとのこと。しばらく前にヨーロッパ中世の修道士たちが、修道院で薬草を育てながら一人で静かに神と語り合うという非常に美しい描写があり、私はそちらの方がいいと思うけれども、草川もとても面白い。大切に取っておくことにしました。