アマゾンの森林の火災と帝国主義の問題

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多くの皆さんが知っていると思うが、ブラジルを中心とするアマゾンの森林で大きな火災が起きている。これは、ブラジルが、経済発展ために森林を破壊してきた政策を次々と行ってきたことが引き起こした結果であることはほぼ明確であるとのこと。フランスなどのヨーロッパ諸国は、政策を変えるようにプラジルに圧力をかけている。一方ブラジルの大統領のボルソナーロは右派であって、ヨーロッパ諸国が確立した秩序に順々と従うような政策変更はしないし、フランスなどによる批判を内政干渉と片付け、それどころか、21世紀の帝国主義的な振舞いだと一蹴している。同じようにアフリカの中央部でも密林火災が頻発している。エコノミストの地図で見ると、ブラジルよりも多い。アフリカ、ブラジルよりもまれであるが、インドや東南アジアでも、自然火災が起きている。経済発展を目指す国家が熱帯の自然を改変していることが、大きな火災が常駐するような環境になっている。

そして、面白いことが、シベリアやアラスカという寒帯においても、同じような森林の火災が起きているという。地図で見ると、アフリカ、ブラジルに次いで、3番目くらいである。熱帯と寒帯という二つの問題系がある。

これは、日本の医学史や疾病史にとって、地域的には二つのゾーンを検討する必要があったこと、そしてそれは非常に奥深い方向の洞察に導くことを示唆している。日本の帝国は、台湾を筆頭とする亜熱帯から熱帯のゾーンの問題を検討している。南方諸島にいくと、坂野先生の『島の科学者』などの傑作が詳細な生命科学の世界を明らかにしている。逆に、蝦夷・北海道、北方領土満州などもその疾病ゆえに大きな問題になっていた。日本の帝国主義帝国主義医学は、二つの大きな問題に取り組もうとしていたと考えていい。

現在の技術と政策が作り出している森林火災の問題と、日本の帝国医学が出会った熱帯と寒帯の気候の問題。この二つをつなげて考えるといいのかもしれない。

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アマゾンにおける自然大火の頻度

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世界における自然大火の頻度