ヨーロッパとアジアの気候の違い、ヒポクラテス「空気・水・場所」、ジャック・ル・ゴフ

ジャック・ル・ゴフ『子供たちに語るヨーロッパ史』という非常に優れた入門書がある。古代から21世紀までのヨーロッパの歴史を語った書物である。日本語訳は出ていて、ついでに「子供たちに語る中世」もついている。
 
そこでル・ゴフはヒポクラテス文書を使ってヨーロッパ人とアジア人の区別をはっきり語る部分がある。素材はヒポクラテス文書の「空気、水、場所」である。各地の空気と水の違いから文化の違いにも触れるという、環境医学的な議論のおそらく最初のまとまった議論である。その中でヨーロッパ人とアジア人の文化や政治について、気候の違いから論じている部分がある。
 
ル・ゴフの文章については英訳がないので、日本語かフランス語のセリフを英語に訳してみよう。日本語はこのようになっている。
 
ヒポクラテスは気候が持つ影響との関連で、荒々しいが自由を重んじるヨーロッパ人と、平和を愛し、戦争よりも技芸に興味を持つけれども、たやすく暴君や専制君主に従属してしまうアジア人とを対比しています」
Hippocrate a aussi, en fonction de l'imfluence des climats, oppose les Europeens, selon lui agressifs mais tre epris de leberte, aux Asiatiques, pacifiques et s'interessant plus aux arts qu'a la guerre mais acceptant facilement de se soumettre a des tyrans, de despotes.  
 
ヒポクラテスの Airs, waters, places でいうと23節である。医学史の基本のセットで、ヨーロッパとアジアの対比でいい授業ができる部分だと思います。