『銀座秘録』と『浅草経済学』と『神経衰弱の光秀』

昭和戦前期の東京の精神医療の世界を考えるてめに、石角春之助(いしずみ はるのすけ、1890 - 1939)の本を読んでいて、もともととても面白い作家であり、しかも神経衰弱を政治的な脈絡でとらえた作品を出版していることに気がついた。『銀座秘録』は娯楽と快楽の銀座をとても面白く取り上げている。銀座はお客様とお食事をするだけになってしまったし、もともと私が知っている銀座にそのような機能があったかどうか知らないけれども、私が学生時代に住んでいた横浜の地域を思わせる書き方だった。『浅草経済学』は、経済学というよりも、浅草の名店・名サービス紹介で、これは知っておくといい。最後の「神経衰弱の光秀」は、明智光秀は神経衰弱に罹っていたという短い芝居の脚本である。同じ本に『狂人仇討』という作品も収められている。