オペラと椿姫と死

 

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新国立劇場の機関誌『アトーレ』にイヴァン・アヨン・リヴァスというテノールのインタヴュー。出身はペルーで、もともとは中南米の音楽を学んでいたが、オペラ歌手としての才能を見出され、現在のイタリアやヨーロッパでは若き新星であるとのこと。次に東京にきて『椿姫』のアルフレートを歌うことになっており、そこでアルフレートに関して新しい解釈をしている。そこで大切なのが、アルフレートが持つ紳士としての品格と、死が持つ意味合いを語っていた。

紳士については、二幕の冒頭で彼の情熱が、ヴィオレッタの優しい魅力で鎮められるという部分では、二人の関係に新しい解釈を招くし、また二幕のハイライトのアルフレートがヴィオレッタを侮辱する場面で、それを「借りを返した」と表現するあたりも、怒りというだけでは解釈できないとのこと。なるほど。

死については、オペラにおいて死が持った力の話。『ボエーム』のロドルフォも死の意味を知りながら成長するし、デュマ・フィスの原作がそうだが、死後の場面から話が始まっている。なるほど。