ヘルミーナの魔界(笑)

www.gutenberg.org

 

Dunn, Marilyn Ruth. The Emergence of Monasticism: From the Desert Fathers to the Early Middle Ages. Blackwell Pub., 2003.

 

先日松崎さんがコメントしてくださり、ベネディクトゥスの規則を引用してくださいました。仰る通りです。

 

あと少し説明すると、2003年に出たマリリン・ダン先生の非常に優れた書物の 126ページです。イタリアのベネディクトゥスの規則を論じた章で、 Diet という見出しが入っている部分です。修道士がどれだけ食べていいかを論じている部分です。料理を2皿か3皿、パンを一日1パウンド、そして飲んでいいワインを一日1ヘルミーナと紹介しています。ここでヘルミーナの部分にこのように書いています。

 

Each monk is allowed a pound of bread a day and a hermina of wine, probably about three-quarters of a litre of wine, although the use of alcohol is conceded only reluctantly.

 

ここでダン先生は1ヘルミーナを750ml と解釈している。この部分が分からないのです。ヘルミーナは色々な枠組みがあるようですが、基本的に1パウンドの半分くらいだと思います。だから250ml くらい。ダン先生の解釈の1/3くらいです。調べると、色々な人が色々なことを言っています。

 

正直に言うと、ヘルミーナという概念がまだ分かっていないのです。もしかしたら初めて見たのかもしれない。瀉血をヘルミーナで数えないので、そこがまだわかっていないのです。

修道士が飲むワインの量

ヨーロッパの病院を支えた強力な柱はキリスト教であり、その中でも修道院という施設が重要である。修道院の一つのメリットは、いつでも機能しているからだろう。疾病でいうとペストのようなもので、数か月の有事があって、その短い期間のために緊急にオープンさせる施設とは異なっている。むしろ、ハンセン病のような慢性型の感染症や、精神疾患のように長期型の疾病にケアを行える空間を作ることができる。新約聖書福音書に登場するイエスの行動もハンセン病精神疾患を対象にすることが多いと感じている。

その関係もあって、初期の時期にあたる古代・初期中世の修道院制度をコンパクトに論じた素晴しい本を読んでいるうちに、修道士が飲むワインの量が書いてある場面があった。これは、エジプトに修道院を設立したパコミアス (Pachomius, c.292-348 AD) や、イタリアのモンテ・カッシーノ修道院を設立したベネディクト (Benedict of Nursia, c.480-c.543) などの「生活規則」を見ると、彼らに与えられた食事がわかるとのこと。健康な修道士は肉を原則食べないし、食事は同じものを食べるという規則はあるが、わりと食事はいい。一日二回の食事、それぞれ、二種類の料理、果物など、パン、ワイン。パンは1パウンドというから450グラムくらい。ワインが一日に1ヘミネ (hemine)と書かれている。ヘミネを普通に計算すると約250ml であるが、偉い学者がおそらく約750mlの意味だろうと書いている。しらべてみたらこの解釈が多いが、 500 ml と解釈する人もいる。

一日のワインのこの部分の差は非常に大きい。私にとってはこれは混沌としている世界だが、なぜか教えて欲しい。

ヨコハマトリエンナーレと飯山由貴さんの展示

 
昨日は横浜のヨコハマトリエンナーレに行って、主に飯山由貴さんの展示を拝見に行った。作品は、精神医療に関するものが多く、妹さんを主人公にしたドキュメンタリー、精神医療の症例誌を読むと何が分かるのかというビデオなどがとても良かった。もう一つ、新しい方向であるが、在日朝鮮人の生活を色々な手法で再現した作品も面白かった。
 
それ以外にも、面白い作品がたくさんあった。飯山さんもそのような方向だが、環境に関する作品が多かった。covid-19 に関する色鮮やかな作品や、アメリカで広大な土地に捨てられている放射線物質に関連する廃棄物の航空写真のビデオなど、とても面白かった。

トレントとソレント

今日の Bing の写真はイタリアのナゴ・トルボーレ (Nago Torbole) という美しい小さな街でとったもの。ガルダ湖という美しい湖に面している。イタリアとドイツの間にあるチロル地方のゾーンで、ドイツ語では Naag Turbel という。ゲーテがイタリア旅行で賛美しているとのこと。この地域の大きな都市の名前がトレント。これも中世の街の雰囲気が残っていて、とても美しい。
 
 
ここまではよかったが、ここでトレントとソレントを区別できないおバカさんが約一名(涙)「トレント」という名前の都市を歌うイタリアの有名な民謡があったなあと思って少し探したが、当然のように見つからない。数分間探して、「ソレント」だったことが分かった。 スペルは Trent, Trento, Sorrento である。ソレントはナポリポンペイアマルフィなどから非常に距離が近いこと。「帰れソレントへ」という民謡は、写真ではたしかに南部のイタリアを感じさせたが、20世紀初頭に作詞・作曲されたものであることもついでに学んだ。大変勉強になりました。
 
 

ミス・マープルの若い女性時代の夢

言い訳は自分でもよく分からないが、アガサ・クリスティーは良く読む。その中で『魔術の殺人』というミス・マープルものの作品を初めて読んだ。きっと面白いのだろうと思うが、ミス・マープル若い女性時代の将来はこうしたいという夢をはじめて知った。日本語でいうと「ハンセン病患者の看護婦」、英語でいうと You are going to nurse lepers, Jane, and I was going to be a nun.  である。アガサ・クリスティーミス・マープルがモデルにした憧れのハンセン病の看護婦というのは誰だろう?少し調べて、Kate Marsden かもしれないと思った。女性であり、探検家であり、女性同性愛者であり、とても面白い人物である。 彼女のシベリア紀行記が99円だったので買っておいた。

 

en.wikipedia.org

 

 

<式場隆三郎と脳室反射鏡>と横浜トリエンナーレとwaitingroom の飯山由貴展

www.ncam.jp

 

式場隆三郎と脳室反射鏡>という展示が行われている。最初は広島で、しばらくすると新潟で展示される。東京でも展示するのかもしれないが、よく分からない。式場は精神科医、私立の精神病院を経営しながら、文学や芸術を取り上げて活躍した人物である。著書は200冊もあるとのこと。博士論文がヴァン・ゴッホについての論文で、それ以降も狂人の建築家であり「二笑亭」を名乗った渡邉金蔵についての評論などが素晴しい論考である。キャリアの初期は静岡脳病院の院長であり、それと東京のハンセン病の療養所の比較に触れた文章も面白かった。日程を見ると、8月か9月に日帰りで新潟往復ができるだろう。
 
もう一つの展示が横浜トリエンナーレの飯山由貴さんの展示である。飯山さんのお仕事に関しては、精神医療と深い関係を持っているため、しばらくの間、展示を見たり、深いお話をしたりしてきた。今回のお仕事もとても楽しみにしている。これまで、東京以外の場所でいうと、名古屋、香川県の直島、そして仙台などでお仕事を拝見してきた。もちろんどこも素晴らしい展示だったけれども、直島の展示が素晴しく、これについて waitingroom でも作品を一つ再現するとのこと。実は横浜トリエンナーレに行くのも今回が初めてである。色々と楽しみにしています。 横浜美術館は昔
 
 
 

Covid-19 とコウモリの研究

www.economist.com

 

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エコノミストの記事より。現在の段階では パンデミックを引き起こしているコロナウィルスであるSARS-Covid-2にとても似ているものはコウモリの身体にあること。その特定の種類のコウモリは中国本土というよりも東南アジアに数多く住んでいるとのこと。WHOが近々大規模な調査を始めるとのこと。楽しみにしています。とりあえず、コウモリの本を買っておきました(笑)