自然環境写真展の発表とカエルの脚の美食

Smithsonian Magazine からのメールで、自然環境写真展の発表があった。一つ一つ説明を読んで、これまでの無知を少しずつ改善していく。一番のショックが「カエルの脚の美食について」という写真だった。膨大な数のカエルの脚が国際市場に乗っていることを知った。昨年にアメリカ・ヨーロッパが美食の中でカエルの脚が必要で、それを中南米、中国・台湾、東南アジアなどから輸入しているという記事も書かれたとのこと。もう一つ、山に迫る住宅地の写真も色々なことを考える素材になった。いずれも Smithsonian より。

 

 

 

www.smithsonianmag.com

 

awionline.org

 

住みやすい都市

エコノミストから世界で住みやすい都市の報告。この数年間にわたって連勝しているウィーンがさらに連勝を伸ばしたとのこと。あとはコペンハーゲンチューリヒジュネーヴなどの良い印象を持っている都市。日本では大阪と東京が10位前後の高い位置である。東京で仕事をして、週末に静岡に帰ったり、逆に実佳が週末に東京に来たりする生活も満足している。今週末は国立博物館琉球展を観にいきます。

 

www.economist.com

海洋考古学という主題

今朝の Smithonian Magazine がいくつかの楽しい記事を載せていた。精神疾患、特にうつ病の個人性をどのように診断するかだとか、NYで最後の公衆電話が撤去された記事だとか、読んでいて楽しかった。

その中で圧倒的に面白かったのが、海洋考古学という主題だった。アメリカのオレゴン州に海洋遺産が数多く残されているという記事だった。フィリピンや中国から多くの商船が航海でアメリカに向かい、オレゴン州の付近で難破し、多くのマテリアルを残していく。かつては「太平洋の墓場」 The Graveyard of the Pacific などと呼ばれていた。もう一つの面白い呼び方が「蜂蜜の難破」Beewax Shipwreck というもので、中国から陶器とハチミツが輸出されたのでこの名称がついたとのこと。

航海と感染症の話は私が苦手な領域であるが、どこかで研究されているに違いない。それを読んで、疾病の歴史の講義に取り込もう。

 

www.smithsonianmag.com

 

www.oregonencyclopedia.org

中国の避妊とコンドームの問題

避妊にコンドームを使うかというのは、深い意味がある複雑な問題です。中国でのコンドーム利用の低さに関する研究が出ましたね。

 

brill.com

 

The Trouble with Rubbers: A History of Condoms in Modern China

S. Mellors

NAN NÜ 2020 Vol. 22 Issue 1 Pages 150-178

DOI: https://doi.org/10.1163/15685268-00221P05

https://brill.com/view/journals/nanu/22/1/article-p150_5.xml

Abstract
In recent years, public health officials and scholars have voiced their concerns about comparatively low condom use in China, citing high rates of abortion and the growing HIV/AIDS crisis. By examining condom use through the lenses of gender and the history of medicine, this article traces heterosexual condom consumption in China from the early twentieth century to the present and situates contemporary attitudes toward condoms within long-term contraceptive patterns. Rather than simply taking for granted the role that men play in family planning decisions, this research takes men and masculinity as a central focus. An eye to the past reveals numerous historical obstacles to condom use, as well as an enduring aversion to condoms grounded in fears of reduced male sexual pleasure, and the gendered assumption that birth control is the sole responsibility of women. Analyzing evolving perceptions of condoms sheds light on constructions of sexuality, gender relations, and the roles of the state, society, and the individual in contraceptive decision-making in China.

2023年度・東京大学大学院「死生学」の入試説明会のご案内

私が教員をしている東京大学・人文社会系大学院・死生学応用倫理で、7月17日12時から入試説明会を行います。オンラインになります。

以下のサイトから「死生学応用倫理」をクリックして、その中で事前申し込みをしてください。

生命倫理学を学びたい方々はもちろん、それを密接に関係する医学史を研究したい方、医学史の視点を参照したい方、どうかご参加くださいませ。

 

www.l.u-tokyo.ac.jp

 

2023年度大学院人文社会系研究科冬季入試説明会

――死生学応用倫理専門分野――

(a)日時:2022年7月17日(日)12:00〜13:50  

(b)開催方法:ZOOMを用いたオンライン開催(オンラインのみ)

(c)「事前申込制」「当日参加可(事前申込不要)」の別:事前申込制

(d)事前申込の方法:下記のグーグルフォームから登録してください。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSejeoYk5DwUjcXvwfqQXIxX98papCNy1hSg6ea0 wktueAr7zA/viewform

事前申込締切日時:7月15日(金)17時

事前登録締切時間を過ぎますと「参加用ZOOMリンク」が登録アドレスへ送信されます。数時間経っても届かない場合はメールでお問い合わせください。

(e)問合せ先:死生学・応用倫理センター メール:dalspe(at)l.u-tokyo.ac.jp ※(at)は@に入れ替えてください。

 電話:03-5841-3736(11:00-16:00(火休))

ホームページ:http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dalspe/

入試説明会プログラム

1.死生学応用倫理専門分野について―スタッフ紹介―  

2.死生学について  

3.応用倫理について

4.死生学応用倫理専門分野の教育方針(ディプロマ・ポリシー)と開設科目―授業紹介―

5.死生学応用倫理専門分野大学院入試の選考基準(アドミッション・ポリシー) 

6.修士課程、博士課程大学院入試の概要―専門問題の例―

7.受験に向けた勉強方法―死生学と応用倫理の参考書―

8.質疑応答 

ペスト(黒死病)の起源がかなり分かってきました!

www.smithsonianmag.com

 

www.nature.com

 

黒死病と呼ばれる第二のペストの巨大な波。いつヨーロッパに広まったのかという問いに対しては、1347年にクリミア半島の港町カッファにおける籠城戦から、ジェノヴァの商船が感染して、シチリアなどの港町に感染したと言われている。もちろんその前はどうだったのかだろうという疑問があり、私は答えられなかった。

Smythonian Magazine の今日の記事、そしてそのもとである Nature の記事で、かなりの前進があった。1347年よりも10年近く前に、現在のキルギス共和国の北部 (northern Kyrgyzstan) の村で死亡した患者の歯の骨のDNA検査をしたところ、ペストにかかったことが明らかにされた。年代は1338年と1339年、場所はシキク・クルという内陸湖の周辺にある村 Burana などである。それらの村で急激な死亡の増加が1338年にあり、患者の墓に疫病で死んだという記述があるとのこと。

 

Nature からの黒死病のなどの図版です

 

 

函館市立病院で毒ガス攻撃を受けた時の演習のフィルムが見つかりました!

 
20世紀の前半の医学になると、フィルムが比較的頻繁に見つかるという印象を持っている。まだ公開にはいたらないが、大きな病院などでは、そのようなものと出会う。色々なヴァージョンがあり、その一つに、毒ガスの利用がある。第一次世界大戦のヨーロッパの戦線で毒ガスとして化学兵器が大規模に用いられ、130万人の負傷者、死者は10万人に迫る被害が出ていた。これに関しては、数多くの学術書や論文が書かれている。
 
日本軍も毒ガスの開発と防御に非常に敏感であった。1918年の末には、動物を用いてすでに実験をしたという新聞記事があった。その後も、多くの書物、新聞記事、実践が行われていた。これに関しても、かなりの学術書や論文などが書かれている。
 
その中で、日本が毒ガス攻撃を受けた時にどのように対応したらよいか演習をするというフィルムが函館市立病院で見つかった。病院のスタッフが、毒ガス攻撃にどのように対応するかを演習したフィルムである。取材に答えて、事実と想像力の双方において大きなインパクトがあるフィルムだった。それに関する NHK函館の報道が今週の木曜日まで公開され、8月に函館で公開されるとのこと。
 
病院のアーカイブは色々な意味で豊かさと可能性を持っている。毒ガスに対する演習など、きっと多くの病院の倉庫で眠っているのではないかと思う。それを発見し、その市の医療と科学、そして政治経済文化社会などを分析して優れた論文が書かれるだろう。また、学生で、そのような指導を希望する方は、ご一報いただければ。