外科医の障害と車椅子

www.bbc.co.uk

 

私の英語の訓練の一つは朝ごはんを作りながら BBCの The World Tonight を聞くことである。まじめなニュースと評論の45分の番組で、とてもいい。週日はほぼ毎日聞いている。

今日の番組で、事故で大きな障害を負った外科医が、難しい手術を受けて復帰して、彼が車椅子に乗って手術をすることができるようになったという特集があった。とても胸を打たれる話だった。30分くらいから始めるとすぐに登場する。

私は5年ほど前に何回か脳を手術して神経膠腫を切り取っていただき、この世界に帰ってきたが、二回目の手術の時に、失語症になった。この時には「仕方がない」という気分になったが、数日で帰ってくることができた。これまでの人生が終わったという気分になったが、終えなくてすんだエピソードである。この外科医のことを少し調べておこう。

大道寺さんと中国語とネズコンドル(笑)

大道寺慶子さんという中国の医学史の秀才がいて、RPD (Restart Postdoctoral Fellow)に採用されている時期に指導しており、大学院や学部の授業などに出席してもらいました。学問の世界ではありませんが、非常に立派な会社に就職することができたことをお祝いするために、昨日の夕方は一緒にお寿司をいただきました。

もともと頭が良く、非常に楽しい人で、お寿司を食べながら素晴らしい時間を過ごすことができたのですが、二つの面白い話題を。

一つは、彼女が持つ言語の力の問題です。日本語と英語だけでなく中国語ができます。それも学問の水準でできるので、 競争に入ると圧倒的な力を持つことをあらためて知りました。私は日本語と英語だけで、中国語はまったくできません。これからの事情を考えると、中国語を学ぶ必要があることを痛感しました。これからのブログに中国語が登場するかもしれません(笑)

もう一つは、彼女がカバーしているメディアの広さとその記憶力のすばらしさです。本当に色々なメディアを訪問していて、舌を巻きます。Amazon でも提供されていて、1900年のウィーンの芸術と精神医学と犯罪を描く Vienna Blood などは観ておくべきだと言われました。少し見たのですが、確かにその通りです。そのとどめは、仮面ライダーに登場するネズコンドル。1972年に作られた作品で、ネズコンドルが人間を噛んでペスト菌をまき、噛まれた人間もペスト人間となって他の人間を噛み、それがパンデミックになるというストーリー。

 

・・・たしかにその通りじゃないですか(笑)私、何とかしてこの作品を見ておきます(爆)

 

www.kamen-rider-official.com

モリエール『守銭奴』のリーディング・カフェ!

静岡のSPACがモリエールの『守銭奴』の公演をいたします。それとともにリーディング・カフェが行われます。数年前に、同じモリエールの『病は気から』のリーディング・カフェに参加して、とても面白かったです。演劇の台本を皆で読んでみるというような方法が、病院や介護所などで使われると良いだろうなと、これは妄想しています(笑)

 

spac.or.jp

 

 

 

igakushitosyakai.jp

 

History of Psychiatry の東アジア特集号です!

台北の陽明大学の Wen-Ji Wang 先生とご一緒に History of Psychiatry の東アジア特集号を刊行しました。中国を対象にしたものが3点、日本が3点、台湾が1点、香港が1点、そして韓国が1点です。これからは、これらの地域の深い研究だけでなく、その地域同士がどのように関係を持ったのか、そして世界の中でどのような意味を持ったのかなどの新しい視点が開かれています。


Akihito Suzuki and Wen-Ji Wang

Introduction: Madness and psychiatry in East Asian countries in the modern period

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221097524

 

Wen-Ji Wang

Managing Chineseness: neurasthenia and psychiatry in Taiwan in the second half of the twentieth century

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221087410

 

Yu-Chuan Wu

Hypnosis, psychoanalysis, and Morita therapy: the evolution of Kokyō Nakamura’s psychotherapeutic theories and practices

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221087411

 

Emily Baum and Zhuyun Lin

Maoism and mental illness: psychiatric institutionalisation during the Chinese Cultural Revolution

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221090631

 

Akihito Suzuki

Psychiatric hospital, domestic strategies and gender issues in Tokyo, c. 1920–45

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221090630

 

Harry Yi-Jui Wu

Relaying station for empires’ outcasts: managing ‘lunatics’ in pre-World War II Hong Kong

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221094689

 

Hsuan-Ying Huang

End of an era or a moment of reshuffling: fragmentation of entry-level training in China’s psycho-boom

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221091466

 

Kyu-hwan Sihn

Distinguishing between neurosis and psychosis: discourses on neurosis in colonial Korea

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221094945

 

Yuki Mitsuhira

Shūzō Kure’s essay on psychotherapy including music in twentieth-century Japan (1916)

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221098517

 

 

A Special Issue on Psychiatry in Modern East Asia in History of Psychiatry, vol.33(2022), issue 3.

Wen-Ji Wang and I have organised an issue in History of Psychiatry in 2022, issue 3. The subject is a rising new topic of East Asia’s history of psychiatry. Three papers on China, three on Japan, one on Taiwan, one on Hong Kong, and one on Korea. The next stage might be the interactions between these countries and areas in the context of global psychiatry and local patients. 

 

Akihito Suzuki and Wen-Ji Wang

Introduction: Madness and psychiatry in East Asian countries in the modern period

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221097524

 

Wen-Ji Wang

Managing Chineseness: neurasthenia and psychiatry in Taiwan in the second half of the twentieth century

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221087410

 

Yu-Chuan Wu

Hypnosis, psychoanalysis, and Morita therapy: the evolution of Kokyō Nakamura’s psychotherapeutic theories and practices

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221087411

 

Emily Baum and Zhuyun Lin

Maoism and mental illness: psychiatric institutionalisation during the Chinese Cultural Revolution

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221090631

 

Akihito Suzuki

Psychiatric hospital, domestic strategies and gender issues in Tokyo, c. 1920–45

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221090630

 

Harry Yi-Jui Wu

Relaying station for empires’ outcasts: managing ‘lunatics’ in pre-World War II Hong Kong

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221094689

 

Hsuan-Ying Huang

End of an era or a moment of reshuffling: fragmentation of entry-level training in China’s psycho-boom

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221091466

 

Kyu-hwan Sihn

Distinguishing between neurosis and psychosis: discourses on neurosis in colonial Korea

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221094945

 

Yuki Mitsuhira

Shūzō Kure’s essay on psychotherapy including music in twentieth-century Japan (1916)

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0957154X221098517

 

 

飯山由貴「あなたの本当の家を探しにいく」展が開催されています!

現代アーティストの飯山由貴さん。家庭や社会における精神医療の問題を鋭い視点でとらえて数々の場で発表してきました。今年の森美術館で行われた飯山さんの展覧は、『美術手帳』にもインタビューされ、国際的にも注目されています。東京都人権啓発センターでも11月30日まで展覧会が行われています。ぜひいらしてください!

 

以下、美術手帳のサイト、東京都人権啓発センターの YouTube と広報、鈴木による飯山さんのインタビュー、飯山さんの作品を展示した愛知県美術館学芸員の中村史子さんのインタビュー、そして飯山さんを発見した画廊 waitingroom の芦川朋子さんのインタビューをまとめました。ぜひご覧ください!

 

bijutsutecho.com

 

www.youtube.com

 

www.tokyo-hrp.jp

 

igakushitosyakai.jp

 

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プラトンのアトランティスと土木・農業・経済と健康政策

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BBCの in Out Time で プラトンアトランティスについて論じていて、その政治的な内容や技術史的な内容が非常に面白かった。プラトン全集の第十二巻で、ティマイオス種山恭子が、クリティアスは田之頭安彦が翻訳している。もともとソクラテスを含めて4人の人物が対話するという形式で、その最初の人物の名称がティマイオス、次の人物がクリティアスという名称である。アテネギリシアの文脈で、どの政治家に特定されるかということも具体的に分かっているとのこと。

ティマイオスは比較的短い言及で、24e-25d に書かれている。私も含めて、多くの皆さんがここは読んだことがあると思う。面白いのはクリティアスで、113+ と表記されている10ページを超す長大な部分が、アトランティスを論じている。その内容は、神との関係、政治論、土木論、運河論、農業論、通商・運輸論、そしてそれらとつながる人々の健康論などが論じられている。一言でいうと環境と重なる議論である。何かの折に引用できるように、憶えておこう。

一つ小さな面白い点。アトランティスには冷泉と温泉がある。どちらも舌触りと優れた水質が重要で、プールや浴場になっているが、それが王と一般人、そして、婦人用、馬その他の役畜用、おそらく合計4つに分かれているという。この順序であり、また、ここまでが浴場の範囲なのかと納得した。

Plato, Complete works edited by J. M. Cooper and D. S. Hutchinson (1997) 
プラトンティマイオス . クリティアス』 種山恭子・田之頭安彦訳(1975)