Entries from 2005-08-01 to 1 month

精神医療の人類学

今回の話は、精神医療史の国際比較のような方向の学会でするので、異文化精神医学の本を読み漁っている。その分野での大御所であるハーヴァードのクラインマンの書物を読んだ。 私のような、いわゆるコテコテの医療の社会史の仕事をしていて、歴史の資料に埋…

クロルプロマジン革命

9月の頭に、日本の精神医療における薬物の利用について少し話すことになっていて、その準備にかかっている。知り合いが多い気楽な学会だし、しばらく前から暖めているテーマなので(実際のリサーチは何もしていないのだけれども・・・)、夏風邪を引いて調子…

シーボルトとネットワーク

マシューズ関係の本の書評も終わって、医学人名辞典の編集と項目執筆の仕上げに入っている。シーボルトについて書くために、呉秀三の一連のシーボルト研究を読む。近年の人文社会系の医学史の研究者には、狭隘な民族主義者が意外に多くて、「問題意識を共有…

想像力と妄想の歴史

しばらく前からブログの主題になっている書評を大体書いた。小説の書評をするのは難しかったけど、もう一つの本との対比という感じで、うまくまとめられたと思う。あまり突っ込んだことは言えなかったが、広いパースペクティヴがある書評が書けてちょっと嬉…

19世紀のマインド・コントロール・マシン

18世紀の末のイギリスの精神病患者の人生と彼の妄想を詳細に分析した書物を読む。 1815年に没したジェイムズ・ティリー・マシューズ は、「世界最初の精神分裂病の患者」ではないが、人生と病像の細部を知ることができるごく初期の分裂病患者の一人である。…

精神病の「エコロジカル・ニッチ」

夏の休暇から11日に帰ってきました。 新たな気分で、仕事もブログも再開です。 19世紀の末から20世紀初頭のフランスを中心に「流行」した精神病、「遁走」(fugue) についての書物を読む。 精神医学の歴史についての本を二冊まとめて書評を書くことになった。…