Entries from 2007-08-01 to 1 month
未読山の中からマゾヒズムのカルスタを読む。文献はStewart, Suzanne R., Sublime Surrender: Male Masochism at the fin-de-siècle (Ithaca, New York: Cornell University Press, 1998). マゾヒズムという概念は、現在の日本では「SかMか」というように…
未読山の中から、東大医学部草創期の重鎮で、明治天皇の侍医長であった池田謙斎のもとに送られた書簡集を読む。文献は池田文書研究会編『東大医学部初代綜理池田謙斎』上・下(京都:思文閣、2006-7)。資料的価値が非常に高い文書を編集した労作。東大医学…
先日きいちごさんの絵画クイズで出題されたドイツのシュールレアリストのエルンストのコラージュ小説『百頭女』を読む。題名だけは知っていたけれども、実際に読むのは初めて。 河出書房から文庫で出ていて、絵は少し小さくて見にくいけれども、まあ、1000円…
未読山の中から、初期近代ヨーロッパの宗教、戦争、飢饉、疫病と死の社会史と文化史をまとめた書物を読む。文献は、Cunningham, Andrew and Ole Peter Grell, The Four Horsemen of the Apocalypse: Religion, War, Famine and Death in Reformation Europe …
大三元さん(とお呼びすればいいのかしら?)のブログで見かけた書物が役に立ちそうだったので、買って読む。文献は菅野覚明『武士道の逆襲』(東京:講談社現代新書、2004) 大三元さんの記事はこちら http://blogs.yahoo.co.jp/honestly_sincerely/5045814…
必要があって、戦後日本の核物理学者たちの公人としての活動を論じた書物を読む。文献は、 Low, Morris, Science and the Building of a New Japan (New York: Macmillan, 2005) 戦前から戦後の日本の核物理学者7人の社会的な活動を丹念に跡付けた研究書。戦…
必要があって、マイケル・ポランニーの『暗黙知の次元』を読む。高橋勇夫が新訳したちくま文庫版。学生時代に読んだ本なのだけれども、内容はきれいに忘れていた。 全体としては壮大な議論だけれども、欲しかった議論は冒頭近くで展開されている出発点にあた…
ずっと抱えていた原稿をやっと仕上げて編集者に送ることができた。仕事が一段落ついたので、未読山の中からヴェルレーヌの詩集を取り出して、久しぶりにゆっくり詩を読んだ。文献は『ヴェルレーヌ詩集』野村喜和夫訳編(東京:思潮社、1995) しばらく前にき…
パリの知的な写真ブロガー、みよこさんとの会話から始まった浣腸器の画像、これでひとまずは終わりです。 18世紀のカリカチュア、意味は良く分らないけれども、3人の女が3人の男を追い出していて、その時に女が手にしている道具の一つが、中くらいの浣腸…
パリの素敵で知的な写真ブロガーのみよこさんとの話のついでに、たまたま出した浣腸器の画像がすごい人気だったので、浣腸器の画像をもう一つ。 これは裁判所に入るある貴族の女性と、その付き添いの一群を描いたもの。左側の男性たちが、左からお付きの薬剤…
パリの写真のブロガー、みよこさんとお話に出た大きな浣腸器です。 みよこさん、だいたい右端の人物が担いでいるくらいでしょう? 画像は、1876年の水彩画より。ウェルカム図書館蔵。
今日も少し無駄話を - 最近、無駄話が多い(笑) 出張の飛行機の中で『蒼き狼』を読む。特に好きな作家というわけではないけれども、井上靖を最近よく読む。端正な文体で坦々と語られるストーリーがほっとする。一つの作品で一回か二回狂おしいような感情の…
今日はちょっと無駄話を。 一般の歴史教科書に目を通して、英語圏の医学史の殷賑を慶賀する(笑)。文献は、Wiesner-Hanks, Merry E., Early Modern Europe, 1450-1789, Cambridge History of Europe Series (Cambridge: Cambridge University Press, 2006).…
必要があって、以前に読んだ精神病の歴史疫学の本をチェックする。文献はTorrey, E. Fuller and Judy Miller, The Invisible Plague: the Rise of Mental Illness from 1750 to the Present (New Brunshwick, NJ: Rutgers University Press, 2002). 「以前に…
知人の学者に勧められた本を読む。文献は、Garon, Sheldon, Molding Japaense Minds: The State in Everyday Life (Princeton, NJ.: Princeton University Press, 1997). しばらく近代日本の医療の歴史を手探りで研究していて、だんだん問題の所在が分ってき…
今日は少し無駄話を。しばらく前のTLS (Times Literary Supplement) を読んでいたら、Alva Noeという哲学者が、Bruce E. Wexlerというエール大の精神科の教授がMITから出したBrain and Culture: Neurobiology, Ideology and Social Changeという本の書評をし…
19世紀京都の蘭方医学の学塾で作られた講義の筆記録を読む。文献は小石玄瑞『<聖>園小石先生叢話 復刻と解説』正橋剛ニ編(京都:思文閣出版、2006)。 小石玄瑞 (1784-1849)は19世紀の前半に京都で蘭方医学の医学校(究理堂)を主催した著名な医者。玄瑞…
未読山の中から、疱瘡の歴史についての軽い本を読む。文献は川村純一『文学に見る痘瘡』(京都:思文閣、2006) 江戸時代を中心に、歴史書、戯作、読本、随筆、紀行文、川柳など50点あまりの作品から痘瘡に関する言及を拾って、それに色々な解釈をつけたもの…
サンフランのチャイナタウンに続いて、LAの移民の研究書を読む。文献は、Molina, Natala, Fit to be Citizens? Public Health and Race in Los Angeles, 1789-1939 (Berkely: University of California Press, 2006). 昨日記事にした書物が、チャイナタウン…
19世紀から20世紀のサンフランシスコのチャイナタウンの公衆衛生を論じた著作を読む。文献は Shah, Nayan, Contagious Divides: Epidemics and Race in San Francisco’s Chinatown (Berkeley: University of California Press, 2001). 19世紀の後半のサンフ…
久しぶりにエミール・ゾラの『ナナ』を読む。文献は、エミール・ゾラ『ナナ』川口篤・古賀照一訳(東京:新潮文庫、2006) ゾラは医学史の研究者に良く読まれている作家である。彼の作品が、遺伝とか退化とか変質といった、19世紀後半から20世紀の社会にとっ…
未読山の中から、糖尿病を素材にして面白い概念を探っている論文を読む。文献は、Feudtner, Chris, “A Disease in Motion: Diabetes History and the New Paradigm of Transmuted Disease”, Perspectives in Biology and Medicine, 39(1996), 158-170. 疾病…
未読山の中から、ダナ・ハラウェイの論文を読む。文献はHaraway, Donna, “The Biopolitics of Postmodern Bodies: Determination of Self in Immune System Discourse”, Differences, 1(1989), 3-41. なお、ハラウェイの著作はいくつか翻訳されているが、私…
未読山の中から、近世イギリスの一般向け産科学書を分析した論文を読む。文献はFissell, Mary, “Gender and Generation: Representing Reproduction in Early Modern England”, Gender & History, 7(1995), 433-456. この著者は緻密な実証に基づいてシャープ…
20世紀前半の精神医療の研究をするために、背景としてのモダニズムの入門的な勉強をしている。(新しい「時代」を勉強するのは、多分これが最後になるだろう。)文献はマイケル・レヴァンソン編『モダニズム入門』荻野勝他訳(東京:松柏社、2002)。ケンブ…
コレラ文献の山から、東京庶民生活史の古典を読む。文献は、小木新造『東京庶民生活史研究』(東京:日本放送出版協会、1979)。2章8節「病気と医療にみる東京時代」を読んだ。短くて逸話的ではあるが、公文書の広い渉猟から得られた医療史についての豊かな…
必要があって、「細菌学革命」を再考した大著を読む。文献は、Worboys, Michael, Spreading Germs: Disease Theories and Medical Practice in Britain, 1865-1900 (Cambridge: Cambridge University Press, 2000) 1870年代から90年代にかけてのコッホやパス…
必要があって、和辻哲郎『古寺巡礼』を読む。 確かめたわけではないけれども、日本の職業的哲学者が書いたものの中で最も読まれている書物の一つは、和辻哲郎の『古寺巡礼』だろう。和辻が二十代のときに奈良の古寺と古美術を訪れたときの批評文である。中国…
今日は無駄話を少し。 テニスをしたりスカッシュをしたりという北海道の高原のリゾートでの休暇の中から、一日だけ、森を抜けて近くの湖まで散歩に行ってきた。静かな森の中には夏鳥の声が響き、カラ類やムシクイ類の姿がちらほらする。夏の森は葉が茂ってい…
北海道の高原で、一週間ほど休暇を取ってきました。 ブログ休止中に訪問してくださった方は、ごめんなさい。 明日から、更新を再開します。