Entries from 2014-04-17 to 1 day

『歴史における周縁と衛生―女性・穢れ・衛生』(2014)

鈴木則子編『歴史における周縁と衛生―女性・穢れ・衛生』(京都:思文閣、2014)が刊行されました。出版社のサイトからの転載です。 本論集では、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、その身体に対する認識の歴史的変化に着目…

漁村への天然痘の侵入を素材にした歴史小説

尊敬する医学史の研究者に勧められて、吉村昭『破船』を読む。1982年に出版され、Kindle で読んだ。ミステリー小説ではないが、以下の記事にはネタバレがあります。 江戸時代の孤立した村に天然痘が侵入した悲劇を描いた作品である。吉村の作品だから、ある…

種痘は大惨事に対する英雄的な行為だったか

吉村昭『雪の花』を読む。幕末の福井藩における天然痘に対する種痘政策の成功を描いた中編小説である。主人公は福井藩の町医者の笠原良策である。物語は、福井藩における良策の人道的な情熱と種痘導入の努力が中心となり、その周りに、種痘をはじめとするオ…