Entries from 2017-05-01 to 1 month

Medical Humanties vol.43(2017), no.2.

Medical Humanities の最新号である 43巻2号は、<精神医療のコミュニケーション>と題された特集号。歴史、文学、アーカイブズからの写真などの馴染み深い主題の他に、いくつもの新しい志向の論考がある。必読文献集の一つになると思う。 個人的にも読んで…

ペンギン・カフェ 

www.erasedtapes.com ペンギン・カフェ・オーケストラは、今から30年以上前、私が高校生か大学生の時に世界的に流行した「コンテンポラリー・ミュージック」。LPのレコードも何枚か持っていて、CDを買い直したりしてきた。先日、創設者の息子が「ペンギン・…

演題募集―東アジアの植民地支配と医療(2018年3月・ピッツバーグ大学)

Call for Papers: The Intersections of Colonialism and Medicine in East Asia at the University of Pittsburgh | H-Japan | H-Net 2018年の3月にピッツバーグ大学で東アジアの植民地と医学についての大規模なワークショップ。カバーする主題も多様です。…

海洋汚染という問題

www.economist.com エコノミストの特集記事が、海洋に対する盲目の問題を扱ったもので、とてもいい記事だったのでメモ。20世紀の後半からだろうと思うけど、環境問題への感受性は高まっている。しかし、この多くが陸上の可視的な環境に対する感度である。水…

新刊『性の問題群』(2017)

historypsychiatry.com h-madness から新刊のお知らせ。著者の Paul R. Abramson 先生は、UCLAの臨床心理学の教授で、過去40年にわたって、法廷やキャンパスでにおいてさまざまな性の問題にかかわってきた。その経験をまとめた書物で、第一章と第四章は、精…

ソ連のTV上の集団催眠について

www.atlasobscura.com 旧ソ連末期の集団催眠療法について。1989年の10月に、ソ連のTVで奇妙なプログラムが連続して放映された。アナトリ・カンピロフスキーなる心理療法士が、TVで行った、ソ連の市民に向けられたセアンスだった。カンピロフスキーがTVに現れ…

博物館と医学史博物館の歴史 

ロンドンのウェルカム図書館のブログより。今回は博物館の歴史と、ウェルカム図書館の歴史について。 博物館は、もとは16世紀の王、貴族、教会有力者などの個人的なコレクションをもとにして、18世紀末のフランス革命以降、人々にあるべき教育を与える civic…

バラの開花とペチュニアなど

今日はお天気も良くなるらしく、朝の庭は美しい予感がしていました。黄色いバラがグレアム・トマス、ピンクのパラは、ガートルード・ジキルの半開きの花と開いた花、そしてペチュニアなどの花の写真です。

インドとトルコのシャンプー療法について

http://www.oxforddnb.com/public/lotw/1.html 今日のDNBは、ディーン・マホメッド (Deen Mahomed, 1759-1851)。インドからイギリスにわたり、ロンドンとブライトンで開業して成功した「シャンプー外科医」とレストラン経営者である。このあたり、私が知らな…

アメリカの精神病院の建築の歴史 展覧会 

アメリカの精神病院の歴史展が、ワシントンDC の国立建築博物館 (National Musuem of Buildings) で開催されているとのこと。ワシントンDC のセント・エリザベス収容院で、1850年代に建設された当初は250人の患者用であったが、1960年代には8,000人の患者を…

ガートルード・ジキル(バラ)の開花

庭でバラが開く季節が始まりました。今日はあいにくの雨でしたが、ガートルード・ジキルが開きはじめました。 ガートルード・ジキルは、イングリッシュ・ローズで有名なデイヴィッド・オースティンが作成したバラ。イギリスでも人気がある名花です。開花の時…

医療の社会史 30(2017), no.2 より。

Social History of Medicine, 30(2017), no.2 から。サイトは以下の通り。アブストまでは誰でも読むことができます。 https://academic.oup.com/shm/issue/30/2 Shepherd, Jade. "‘I Am Not Very Well I Feel Nearly Mad When I Think of You’: Male Jealous…

東京空襲と精神医療 - 外からのストレスと中からのストレス 

https://historypsychiatry.com/2017/05/11/new-book-therapeutic-fascism-experiencing-the-violence-of-the-nazi-new-order/ オクスフォード大学出版局から昨年でた著作『治療的なファシズムーナチ占領下で暴力を経験すること』についてのノートが h-madne…

中世の医学写本と患者の症例

グラズゴウの図書館が保有する、18世紀の著名な医師ウィリアム・ハンターが所蔵していた中世の医学写本に関する解説。オリジナルは、14世紀にイングランドで活躍した外科医のアーダーンのジョン(John of Arderne) この写本を詳細に研究したプロの中世医学史…

夕張の廃墟病院 An abandoned hospital in a city in Japan

An article (in Japanese) on the hyper-elderly society in Japan, which shows an eerie photo of the remains of an abandoned hospital. Looks like a fascinating subject for a thesis of medical history. もともとは夕張の超高齢社会の貧困な老人を…

旨味・ウマミ・savouriness

www.1843magazine.com Umami (旨味)の概念が欧米でも定着しつつある。化学者やプロの調理人だけでなく、スーパーでも簡便に手に入る商品でもウマミという考えが使われているとのこと。その事情に関する短くて面白い記述。 話は池田菊苗(1864-1936) という…

森田先生、そこは割り算ではなく引き算をするところです(笑)

森田正馬(1874-1938) に関する短い論文を書いている。森田は大正・昭和戦前期に活躍した精神病医である。神経衰弱に対する「森田療法」の創始者として著名であり、一般人向けに書いた精神医療の書物はベストセラーとなって20版を超えて刊行されていた。熱心…

アフリカ音楽について

エコノミストのコラム風のニュース( Economist Espresso) で、アフリカの音楽の将来について読む。現代のアフリカ音楽は、アメリカや中南米に移民した人々が、アフリカの伝統音楽をベースにしてさまざまなジャンルの音楽を作り上げて世界に広まったものであ…

VR (ヴァーチャル・レアリティ)の医療的な利用

麻酔に関する面白い記事。現代の医療には、さまざまな場面で麻酔が必要になる。面白いことに、そこには地域差がある。きちんとしたデータを持っていないが、日本での麻酔の利用は、欧米諸国のそれよりも程度が低いのだろうと私は思っている。ことに麻酔が用…

感染症の常在地・孤立地の間の移民の問題

予防接種という人為的な予防医学が広まる前の話。ただ、原理的には、予防接種以降の時期でも話は成立する。 ある感染症に関して、その感染症が常在している地域と、それを経験したことがない孤立した地域がある。常在している地域では、そこで生きている人間…