Entries from 2018-02-01 to 1 month

病いの語りについてー『週刊医学界新聞』の特集

医学書院/週刊医学界新聞(第3262号 2018年02月26日) 『週刊医学界新聞』が「病の語り」についての特集です。江口重幸、東めぐみ、安酸史子の三先生の鼎談であり、アーサー・クラインマンを論じるという企画です。

政党支持の深い断裂について

昨日のエコノミストのプーチンに関する記事と連関する記事について。これは少し前の Prospect の In fact で取り上げられたことである。 1960年のアメリカの共和党と民主党と、2010年の両党の対立の意味合いについての面白いデータ。それぞれの政党の支持者…

プーチンと西欧・アメリカの民主主義と政治・マスメディア・学術の問題について

www.economist.com エコノミストの特集記事。プーチンとアメリカの民主主義の関係について。エコノミストも重視している問題である、政治とマスメディアと学術の領域での、不信感の増大煽りを取り上げています。「奴らは卑劣なことをしている」という御旗を…

20世紀前半の医学一般誌について

19世紀末から医学の広報誌のような雑誌がある。もちろん医学の学術上の論文も掲載されたのだろうが、いま医学の世界で何が起きているかという政治的なことが議論されることも多かった。そのような世俗的な情報や視点が共有される大切な媒体である。私自身は…

オスカー・ワイルドの父親が医師の技術を利用した性的暴行について

O'Sullivan, Emer. The Fall of the House of Wilde : Oscar Wilde and His Family. Bloomsbury, 2016.Colm Toibin, "The Road to Reading Gaol", LRB, 30 Nov 2017. 麻酔法の著名な開始については、1846年のアメリカで始まり、すぐにヨーロッパに広められた…

ハンセン病と精神疾患 ーJ.R. キプリングの作品より

東雅夫編集. 怪奇小説精華. ちくま文庫. 筑摩書房, 2012. 須永朝彦編集. 江戸奇談怪談集. ちくま学芸文庫. 筑摩書房, 2012. 東雅夫や須永朝彦が編集した怪奇作品の傑作集があり、医学史家としては手元にあるレファレンスとして便利である。東による『怪奇小…

1960年代日本の医学部大学院生の無宗教性、そして医師の人生をもう一度繰り返すか

Bowers, John Z., and Joseph C. Hinsey. Medical Education in Japan : From Chinese Medicine to Western Medicine. Commonwealth Fund Book. Hoeber Medical Division, Harper & Row, 1965. 日本医師会. 醫師倫理論集. 金原出版, 1968. 760人程度の医学の…

女軍について

北朝鮮が送り込んで来た女性たちの応援隊員が何か変である。うまく表現できないが、数世代古い理念で、でもファッショナブルな若い美人たちである。たまたま大林太良先生の『神話の系譜』に「女軍」という項目があり、そこで女軍が置かれている世界各地のこ…

ピルトダウン化石人骨ねつ造事件と1910年代の河上肇の記事

河上肇(かわかみ はじめ、1879-1946)は日本の経済学者である。京都大学の経済学部で教授を行ったのち、日本共産党に入党して尖鋭な活動をした。1916年に『大阪朝日新聞』に連載した記事をまとめたものが「貧乏物語」として刊行される。イギリスびいきから…

『ミイラ医師シヌヘ』(1945)

Waltari, Mika,ミイラ医師シヌヘ. 木原悦子訳. 地球人ライブラリー. Vol. 001: 小学館, 1994. https://en.wikipedia.org/wiki/Mika_Waltari https://en.wikipedia.org/wiki/The_Egyptian Halioua, Bruno, and Bernard Ziskind. Medicine in the Days of the …

1908年に配布された婦人参政権を描いたボードゲーム

ツィッター上でサフラジェット(Suffragette 婦人参政権論者)を用いたボードゲームについて教えていただいた。ゲームの構成は、主人公が一人 Holloway Gaol の中心に入り、そこからサイコロをふって目数だけ進むという原理。Open door のマスでとまると次の…

17世紀武器軟膏の自然哲学と道徳哲学について

Eco, Umberto, 藤村昌昭訳. 前日島. 文藝春秋, 1999. ウンベルト・エーコの小説『前日島』(1995) は、17世紀の科学史や医学史などの自然哲学の歴史の研究者にとっては楽しい作品である。当時のヨーロッパの強国の一大関心事であった「経線法」、すなわち航海…

京都の五条天神社と大阪の道修町の少彦名神社

道修町の季刊の広報に、京都の五条天神社の石碑が読み解かれたという話があった。 京都の五条は医療のもともとの宗教的な拠点である。8世紀の末に空海が五条天神社として医療の神を信じたという。その時は天然痘でも麻疹でも長周期で人口が壊滅になる流行病…

1930年代のマン島ー言葉を話すマングースという超常現象

Josiffe, Christopher. Gef! The Strange Tale of an Extra-Special Talking Mongoose. London: Strange Attractor Press, 2017. 2017年にロンドンとMIT 出版局から刊行された書物。1930年代からイギリスのマン島の孤立した屋敷に引っ越してきた夫婦と若い娘…

エコノミスト・エスプレッソ 2018/02/03

エコノミストのエスプレッソは、日曜を除く毎朝配管され、土曜日には娯楽関連の記事である。一番熱心に読む記事だし、今日の記事は、一番私の記事に合う企画であった。 地球と月を結ぶロケットが、ビジネス界で登場することフランスシェフの栄光と並ぶ緊張の…