19世紀の香水占い

 エロティカを調べていた時に書いた記事の残りです。イヴァン・ブロッホ「性的匂い学」を読む。文献はBlock, Iwan, Odoratus Sexualis: a Scientific and Literary Study of Sexual Scents and Erotic Perfumes (New York: The Panurge Press, 1934). 

 初期の「性科学者」であるイヴァン・ブロッホは性の百科全書的な書物をたくさん書いているが、その中の一冊。匂いと性の関係について、医学・生物学から文学・歴史まで博覧強記の一冊。本書でブロッホが挙げている文献を読み直してちょっと味付けして整理すると、そのまま「匂いとエロスの文化史」とかいう新書が一冊書けるだろう。 

 色々紹介したいエピソードが多いのだけれども、香り占いはどうだろう?19世紀から20世紀のアメリカの古典学者で物書きの ハリー・サーストン・ペックHarry Thurston Peckという人物がいて、彼が作り出した「好きな香りで分かる女の性格」の一覧表をばらしてみました。香りと性格を結んで遊んでください。


香り
1 白バラ
2 ジャコウ
3 スミレ
4 シトラス(オーデコロン)
5 アヤパナ

性格
A 純粋な性格で最も洗練された趣味、高い教養に鋭い知性
B 気まぐれで変わっている、ロココ風、悪女らしさを秘めるのが上手い
C 高い教養と趣味の良さ、美を解する 
D 感傷的で心身怠惰、性的に奔放で肥満
E 獣のようで未分化

「占い」の多くは、太古の昔から存在するという触れ込みで、実は19世紀に成立したと聞いたことがあるけど、新しい占いを作って楽しむというのも同時期に成立したのだろうか。今の「山手線占い」とか「回転寿司占い」と同じ感覚かも。