必要があって、トム・ハリスの『ハンニバル』を読む。
『羊たちの沈黙』で描かれた、人肉食の天才精神科医ハンニバル・レクター博士とFBIの美人捜査官クラリス・スターリングの物語の結末がつけられる小説。大アクションが展開されて、陰謀と殺害計画の規模も大きくなり、レクター博士のスーパーマンぶりもいっそう誇張されていて、速い車に高級なワインに仕立てのよい服、グルメな料理に繊細な香水に中世イタリア史にルネッサンス音楽と、もてる男のための雑誌のような八面六臂の活躍ぶりである。
多くの人もたぶん同じ意見だと思うけれども、私は『羊たちの沈黙』のほうがシンプルな設定で好きだった。というか、映画が傑作なのかな、前作は。
画像は『レッド・ドラゴン』でも重要な小道具になる「ウーンド・マンwound man 」と呼ばれる、中世以降の外科学図像の一つの類型。