『レッド・ドラゴン』


必要があって、ハンニバルものの第一作、『レッド・ドラゴン』を読む。『ハンニバル』と合わせて、異常心理の殺人鬼を描いたサイコ・ホラーを一日中読んでいたから、気分が重苦しく、胸が悪くなった。熱い風呂に入って、ゆっくり音楽でも聴こう。

ブレイクの有名な水彩画「赤いドラゴン」をインスピレーションにしたミステリー。孤児で嫌われ苛められ続けた陰惨な少年時代のトラウマのために異常な衝動と欲望を持つにいたり、黙示録が描くサタンであり蛇でありドラゴンである邪悪で力強い「あるべきもの」になろうとして連続殺人を重ねる性格異常者が主人公。それを追い詰めるFBIの捜査官との対決に、精神病院に収容されているレクター博士が絡む。

これを読み終えて、あらためてブレイクの水彩画と黙示録と黙示録論を読んでみた。いや、どうせ異常な心理だと言ってしまえばそれまでかもしれないけれども、ブレイクの「赤いドラゴン」の水彩が小道具としてぴたりとはまっているかどうか、ぴんとこない。『羊たちの沈黙』のドクロの模様のガは、あれは怖いくらいに「はまった」小道具だったと思うけれども。