恥ずかしい話だけどレヴィ=ストロースの構造人類学というものを理解したことがない。あれはやはり先生に習わなくてはならないものだったのだろうな。私が人類学を習ったのは中根千枝先生と大林太良先生のアカルチュレーション論で、そこでは構造主義は教えてくれなかった。いや、教えてくれたのかもしれないけど、交叉いとこ婚とか、そういうことを習わなかった。私にとってレヴィ=ストロースというのは知識人が書きうる最高の旅行記を書いた作家である。愛読書の一つと言っていいけれども、今回の仕事にはインスピレーションはなかった。