鹿児島の精神医療

同じシリーズから、鹿児島の精神医療について。文献は、松本啓・上山健一「日本精神医学風土記 鹿児島県」『臨床精神医学』21(1992), 139-146.

鹿児島は地方部にしては比較的早く県立の精神病院ができた。大正13年に県立鹿児島病院精神科分院が作られ、昭和5年には九大の卒業生の横山鉄夫が鹿児島市に鹿児島脳病院を作っていて、昭和12年、17年にそれぞれ一つの私立病院が続いた。 

ちょっと面白い記述があって、市内草牟田の城山に通ずる歩道の傍らには、私宅に監置する余裕がない患者のための監置質を設けた私設の預かり所が立っていたという。いま精神病者監護法をチェックしている余裕がないけれども、監置責任者には、誰がなってもいい - 患者の親族でなくてもいいし、医者でなくてもいいし、もちろん市町村長でなくてもいいのだから、こういうローカルビジネスもあっていいのかな。鹿児島でもこのような必要があったというのが、興味深かった。