三宅鉱一『精神病学提要』

必要があって、三宅鉱一の精神病学の教科書『精神病学提要』に目を通す。昭和6年に初版が出て書物だが、昭和8年の第二版と昭和18年の第七版を並べて眺めてみた。

10年間で400ページから470ページへと2割弱の増加、症候論と精神病各論の二部構成という基本構成はどちらも変わらない。これは厳密に調べてみないとわからないが、三宅自身が言っていることによると、増やした部分は三点で、治療、遺伝、そして性格論である。治療については、分裂病のところで、昭和8年では持続睡眠のほかはお手上げ状態であった分裂病の治療法(インシュリンなど)でかなりのページが足されている。作業療法も紹介されている。遺伝については、分裂病の章でかなり詳しく遺伝が説明されている。性格論は第二版では「変質者」という章のタイトルで20ページくらいだったものが、第七版では「精神病質・精神病的人格・変質者」というタイトルで40ページくらいに拡大している。 それから、三宅は書いていないけれども、「中毒性精神病」が20ページから30ページくらいに増えている。

歴史学の手法としては、プロの研究者たちには冷笑されそうな、ものすごく原始的な方法だけれども、実際にしてみると、なるほどと思う。すごく簡単な仕事だし、組織的にやってみようかな。あ、すでにいい仕事がされているなら、教えてくださいな。