青い目が見た明治の酩酊者(笑)

必要があって、明治日本を論じた書物を読む。文献は、渡辺京二『日本近代素描 I 逝きし世の面影』(福岡:葦書房、1998)

幕末明治に日本に滞在した外国人たちが記した記録をたくさん読んで、そこから徳川日本の文明の特徴なるものを論じたもの。読んだ資料が本来教えてくれることと、論じようとしている目的が、これほどかけ離れている歴史の書物も珍しい。当時の日本社会について論じるときに、外国人が記した書物だけを分析するという選択も理解に苦しむ。また、いろいろな外国人による記述が、互いに異なっていたり正反対のことを言っている場合に、どちらの意見を選択して、それを日本人の実情をより正確に写していると主張しているわけだけれども、その選択の理由は一切示されていない。

文句ばかり言うのもつまらないから、面白い引用をひとつ。これは幕末に長崎で医学を教えていたオランダ人医師の観察だけれども、夜9時を過ぎると、長崎の町を通る成人男子の半分は酩酊しているという。同じことを現代の東京で観察したらどうなるかしら。銀座や六本木のような盛り場の駅なら、半分どころか、8割を超えているかもしれませんね。