アネット・メサンジェ展

現代美術の展覧会には時々行くけれども、画集やカタログを買う習慣がない。現代美術に偏見があるわけではなくて、主としてケチだからだと思う。歴史学者は、書かれている文字の数で文書の価値を直感的に判断する修正が染み付いていて、現代美術のカタログは他の時代のカタログが無意味な情報を詰め込んでいるのに対し、総じて文字が少ないような印象があるからだろう。それで、森美術館のアネット・メサンジェ展のカタログをいただいて、喜んで読む。文献は、逢坂恵理子執筆の森美術館『アネット・メサンジェ:聖と俗の使者たち』(京都:淡交社、2008)

アネット・メサンジェは1943年生まれのフランスのアーティスト。1970年代には、フェミニズムを基調にした、性と暴力、女性の自己などの問題をストレートに扱った、地味で端正な作品を発表していたが、1990年代には、アール・ブリュの影響を受けて、強烈な色彩と特徴がある素材と形態が前面に出た作品が多くなる。後期のジャンルに属する、ぬいぐるみや布製の人形(ひとがた)を、天井から吊るしたり積み重ねたりするインスタレーションが有名な作品なのだろう。私は前期の作品も好きだけれども。

本を積み上げた作品があって、それが私の記事に時々登場する「未読山」に似ているので、大いに気に入るという幼稚な喜び方をした。

展覧会は12月に終了しましたが、以下がウェブサイトです。
http://www.mori.art.museum/contents/annette/index.html