必要があって、昨日と同じ著者の『医心方の世界-古代の健康法をたずねて』を読む。人文書院から1993年に再刊されたもの。
『医心方』は平安時代の鍼博士(ある種の宮廷医であったと私は想像している)であった丹波康頼が、中国・韓国の医書を渉猟して抜粋して編んだ日本最初の医学全書。984年に朝廷に献上された。昨日取り上げた「大同類聚方」とは違って、これは真正な第一級の医学史資料である。これを個人全訳しようとする志の高さには本当に敬服するしかない。しかし、この書物も、エッセイを集めたものであり、どこを読んで何を学べばいいのか、困惑することに変わりない。
たぶんタイトルが良くないのだと思う。学術書の出版社から『医心方の世界』というタイトルの書物が出ていれば、やはり『医心方』の解説書を期待してしまう。
画像は東博のサイトより。