『ほんとうの敬語』2

昨日の本からもうひとつ無駄話。これは激しく恥じ入った部分。

著者は「です」「ます」こそ「丁寧語」として敬語そのものだと主張していて、面白く読んだ。 そのついでに、「「です」は、動詞・形容詞・助動詞にはくっつけないようにしましょう。」と書いていて、「「行くです」「ないです」「楽しかったです」などと言い切る言い方は大人の言葉とは言えません。」と書いている。

「行くです」
これはOK。まず使わない表現だと思う。

「ないです」
・・・ちょっとぎくりとした。言うこともあるかもしれない。

「楽しかったです」
・・・まずいなあ。これは、普通に、じゃんじゃん使っていると思う。とても恥ずかしかったです。あ、また使ってしまった(笑) 恥ずかしゅうございました・・・は大げさだな・・・恥ずかしく存じました・・・って、かなりニュアンスが変わる・・・ 「恥ずかしい思いをいたしました」って、名詞を足せばいいのかな・・・「恥ずかしかったます」って、これは完全に破綻しているな・・・(笑) やっぱり、敬語って、難しかったです(爆)  

学校の体育会系サークルなどで聞かれる「あるッス」「ないッス」は、これから派生した言葉で、「あります」から派生した江戸の遊女の「ありんす」は「あります」から派生した言葉だから、「ありんす」のほうがよい言葉だそうだ。 「あるッス」という女性は、「ありッス」といったほうがいいらしいですよ(笑) 

「あるです」「ないです」「楽しかったです」、そしてもちろん「恥ずかしかったです」(笑)については、保守こそ使命と信じている国語学者の面目躍如の殺し文句が使われている。

「言葉として程度が低いのです。」

いや、もちろん、この言い方は、学問としてはディベイタブルだろう。言葉の程度ってなんですかとか、そういう、大学院生が得意になっていいそうなことを思いつかない人はいない。でも、実は、私、こういう台詞を自信を持って言い切る人って、結構好きです。

イギリスの Debrett's のエチケット教科書を読むと、レストランのデザートで出たぶどうを、ナイフとフォークを使って皮をむく方法(笑)とか、パーティで出会ってセックスした女の子に、あれは一夜限りの関係だと伝えるときのマナー(爆)なんかが書いてあったりして、その、ゆるぎない自信に満ちた書き方には、いつも惚れ惚れするけれども、それを思わせる書き方だった。  


・・・それはそうと、数行上の「好きです」は、言葉として程度が低くはない・・・と思うんですけど(笑)