戦国の村と雑兵

必要があって、戦国時代についての歴史入門書を読む。文献は、舘鼻誠『戦国争乱を生きる-大名・村、そして女たち』(東京:日本放送出版協会、2006)

有名な戦国大名を取り上げて軍記物や大河ドラマが描く世界を離れて、その領国統治の方法や、村人の行動との関係を論じた本。政治史・社会史の本流である。藤木の書物との重なりも多いようだけれども、戦国大名の軍勢の7割から8割は「雑兵」であり、村の農民が褒美を条件に参加したものであったことが面白かった。この農民たちの村は、当時の異常気象などがもたらす飢えに苦しんでおり、武士の軍勢に参加して合戦先の村で略奪を働くことも、生命を維持する手段の一つであった。(略奪の対象は、もちろん人間もあるけれども、やはり食料や農作物が多い。)それどころか、大名にとって、村人に生活させるために稼ぎ(略奪)の場を提供することも、ひとつの重要な能力とみなされていた。