阿片とインポテンツ

必要があって、阿片と男子の性的機能についての論文を読む。文献は、頼其禄「男子阿片吸食者の性的機能に就て」『台湾医学会雑誌』33(1934), 1137-1148. 

台湾では阿片の吸引は古くから問題になっていて、後藤新平総督府の長官になってまず着手したことの一つが、阿片の非合法化と、中毒者を治療するシステムを作る事だったと記憶している。(とてもあやふやな記憶で書いているので、もしかしたら間違っているかもしれない。)阿片中毒はひとまず押さえ込むことはできたが、植民地時代の台湾では阿片は長い事問題としてくすぶっていたらしい。この論文は、台北の更生院に入院している阿片吸食などの男子約150人について、性経験、性生活についての質問を行い、その答えに基づいて阿片の吸引と中毒化、そして脱中毒化が性機能に与える影響を調査したものである。阿片の影響を調べるために、性調査といってよいものがされていることが、たぶん、少し重要だろう。

こういう「ゆるい」調査の結果・結論が、阿片は性機能を損なうという主張に収斂していくのは予想できるけれども、むしろ面白かったのは、阿片は性交の持続時間を長くするために用いられていたということである。例えば、症例1 陳某(60歳)は、17歳のときに春機発動期に達し、花柳の巷で異性と接触したが、猥雑なる談話、春画、あるいは異性に触れただけで漏精し、性交の際も局所に挿入する前に射精してので交合の目的を達しなかった。そして、24歳より阿片の吸入を覚え、28歳で結婚したが、挿入してから射精までの時間が2-3分延長した。(それまでを便宜上ゼロとすると、2-3分になったということだろう。)その結果、交合の目的を果たして、今日に至るまで一人の妻とのあいだに合計10人の子供にめぐまれた。この阿片吸引は、持続時間を長くしたいのか、それとも生殖が目的なのか、少しあいまいなところがある。症例5は、鄭某(60歳)で、彼は20歳で結婚したが、早漏のため妻に満足を与えることができず、阿片が効果があるのを聞いて、これを吸うと、2-3分の持続時間を得て妻の満足を買ったという。それから性交のたびに吸引していたが、そのうち中毒になったという。これは、持続時間を長くして妻を喜ばせるためという、快楽を高めるための吸引であった。自分の中毒を妻のせいにしているような疑いもあるけれども。 ちなみに、持続時間は、ざっと見ると、2-3 分から 6-7分が多い。

しかし、善良な遵法市民が集うYahoo! ブログの検閲機能は、この記事を見逃してくれるだろうか・・・ 薬物と勃起の持続の話で、出てくる語彙が、非合法ドラッグのセールスや、バイアグラの宣伝に出てくる経験談とすごく似ていると思うんだけど・・・(笑) 

・・・と思っていたら、意外と簡単に通してくれました。