明治四年の医師数

『医譚』から、美濃国・郡上郡(ぐじょうぐん・現在は郡上市)の明治4年の調査から、村ごとの医師数と人口を示した部分を論じた論文を読む。文献は、山崎佐「旧幕時代の医師と人口の対照」『医譚』No.4(1939), 20-22. いかにも山崎らしい、古文書をネタにした興味深い豆知識を披歴した記事である。

郡上郡には合計で119の村があった。総人口は3万3千人で、最小は2戸17人、最大は356戸1139人である。村の人口の平均は300人だけど、見た感じでいうと、100人から200人くらいの人口の村が多い。医者の数は52名だから、医者一人あたりの人口は635人である。この数字を、現在の日本全体の医師一人あたりの人口の数値(500人くらい)と較べると、さすがに多い。しかし、埼玉とか千葉といった県よりも少ない。医者がいない村は80で、いる村はその半分の39だけれども、この「村」というのは非常に小さな村だから、ちょっとこの数字はそのままでは使えない。村を地図の上に落として理解すると、どのような地理的な分布で、医者が本当に足りていなかった地域はどこかが分かるだろう。