西遊記(七)

しばらく前から「牛魔王もの」というべき部分になっている。昔の孫悟空の仲間に牛魔王という妖怪がいるが、その牛魔王の甥など一族と次々と戦う趣向になっている。

この巻で牛魔王ものが終わって、いくつか小さなエピソードが入って、次は「医学・薬学系」と読んでもいい部分に入る-と思うのは私だけだろうか?今回は、その医学・薬学系のエピソードが続く部分の最初で、朱紫国の国王が長らく病気で気分が優れないのを、悟空が見事に診断して薬を調合して与えると、薬効はあらたか、国王は見事に快癒した。診断する時には金の糸三本を用いて窓越しにそれぞれの手の三箇所で脈を「切る」という診断術のウルトラCを軽くこなす。左右全部で六箇所からの脈の情報から病気を判断するのも見事。薬の調合は、大黄と幡豆に鍋底の煤と馬(実は龍)のおしっこ。それを丸めて調合した。薬を与えたら便の中から出てきたものは数年前に食べたもち米のちまきで、それが凝って王は病を得たという。その米のちまきをつかえさせたものは、驚きと悲しみ。三年前に王の后が妖怪にさらわれたが、そのときの驚きと悲しみが消化不良のもち米を介して王を病ませていた。というわけで悟空の妖怪退治が始まって、例のごとく大活劇。