必要があって、ルネッサンスのデモノロジーを分析した著作を読みなおす。文献は、Maggi, Armando, In the Company of Demons: Unnatural Beings, Love, and Identity in the Italian Renaissance (Chicago: The University of Chicago Press, 2006).
ポンペオ・デラ・バルバはフィレンツェのプラトニズムに影響された医者であり、教皇庁の侍医となった。肉体的な死のあと、恋する者の魂がどうなるのか、人間の魂は、彼が最初に恋に落ちた場所を訪れずにはいられず、ダイモンとなる。フィレンツェのプラトニズムによれば恋とは脱魂であるが、その肉体的な側面は何なのか。
栄養的・感覚的な霊魂は人間の種子の主たる構成要素であるが、外から来る理性的な霊魂もある。人間は二種類のハイブリッドなのだから。死んだ恋人の霊魂が墓を脱して一時的な霊気からできたメタファーとしての身体をまとい、恋する人と交わる。死んだ恋人の希薄な身体は、記憶に、身体を与えようとする不自然な行為である。記憶というものはそれをつくった人の死とともに薄れて消えてゆくものである。肉体の死後も肉体の欲望にしがみつき続けることは、ものの本性に反している。この自然に反するモンスターは、たとえば、心臓に杭を打ち込んだりして怪物的なことをしないようにしなければならない。これと闘うエクソシストは、「神の言葉」によって被造物を再調整して、あるべき姿に帰るのである。
天使 は、もともと固有のイメージを持たない、言葉であった。恋の愛称は、恋する人の中に精神の炎をともすようなもの。これは、神と最高者の記憶の表面が放つ光であった。