イソヒヨドリ


今日は無駄話

日本野鳥の会は標準的なフィールドガイド以外にも何種類かのハンディな図鑑を発行している。フィールドガイドは使い慣れているせいか、一番使いやすいと思うけれども、誰でも目にする機会があるスズメとかツバメのような鳥と、「1934年に迷鳥としてただ一回だけ記録されたシベリアサバクヒタキ」のような超珍鳥(いえ、これは勝手に作った珍鳥ですよ)が、まったく同じ資格で、同じサイズのイラスト・同じ情報量で登場するのが、不親切といえば不親切である。(私は一度、三宅島に住むヤマガラの亜種の「オーストンヤマガラ」を自分の庭で見たと信じたことがあった。ベテランのウオッチャーにいったら、ひきつった笑いで「可能性は否定しません」といわれたことを憶えている。)今回の新しい図鑑『見る読むわかる野鳥図鑑』は、そういった珍鳥ははぶいて、常識的に見る可能性があるものだけにしぼりこんだ代わりに、鳥の姿や行動の意味がよくわかるような記述が多い。こういうことは探鳥会にいって先輩やベテランの会員から教えてもらうのが楽しいけれども、組織的に書いてあって読むのも楽しい。

イソヒヨドリは声も美しいし、青の背中とオレンジの対比がきれいな鳥で、みかけると楽しくなる鳥である。家の近くの解体工場跡地の工場の建物の中でイソヒヨドリのつがいが営巣していて、かつては有毒のばい煙を噴き上げていたが今はさびついた煙突に、美しい鳥が止まって美声のテリトリー・コールをしている姿は、<さび>というか<わび>というか<諸行無常>というか(笑)、日本人受けするとても俳句的な光景である。 これを外国人に説明するのが難しい。

画像は wiki からいただきました。