バイオメディシンと予後

必要があって、バイオメディシンのもとでの「予後」の役割についての論文をざっと読む。文献は、Keating, Peter and Alberto Cambrosio, “Beyond ‘Bad News’: the Diagnosis, Prognosis and Classification of Lymphomas and Lymphoma Patients in the Age of Biomedicine (1945-1995)”, Medical History, 47(2003), 291-313.

20世紀後半の、私がヒストリオグラフィを知らない問題を扱った論文で、何が問題になっているかということを想像して補いながら少しだけ読んだ。リンパ腫を素材にして、現代のバイオメディシンのものでの慢性病の予後について論じたもの。慢性病の時代になり、予後のデータが疫学的に得られたものになると、個々の患者についての予後が難しくなる。新しいバイオメディシンのもとでは、diagnosis と prognosis が絡み合うようになる。臨床的な分類と、生物学的・病理的なカテゴリーをつなげる試みもされているが、この結果、かつては、医者―患者関係の中で機能して意味をもつ予後であったものが、臨床試験とその研究者のためのものになり、研究上の道具として、新しい認識論と制度的な意味をもつようになる。

ぴんとこないけれども、そうか、予後の問題を自分は全く考えてこなかったということだけはわかる。