中国の拡大と Zhang

新着雑誌から素晴らしい論文を読む。文献は、Yang, Bin, “The Zhang on Chinese Southern Frontiers: Disease Constructions, Environmental Changes and Imperial Colonization”, Bulletin of the History of Medicine, 84(2010), 168-192.

中国医学における Zhang の記述は、2000年にわたる中国の拡大の前線における環境とのネゴシエーションを知ることを可能にする資料である。もともと北方の黄河流域に国家を築いた漢民族は、江南の地に移住したときに Zhang という病気に出会い、この病気をさまざまに概念化した。古代・中世から2000年近くにわたってたどることができるこの病気は、中国の地理的拡大の前線における概念化を調べる格好の資料になる。江南地方においては移住してきたものをすぐに殺してしまう病気としておそれられ、1760年代の清とビルマとの戦争においても、清の兵士はこの病気のために激減していった。

中国語はいっさいできないけれども、この Zhang というのは「瘧」だと思うんですが、違いますか?