中世ハンセン病の診断

医学生に医学史を教えていて、次は中世で、ハンセン病の診断の話を中心にして、そのまわりに社会の話を配置するということをやってみるつもりである。診断について具体的なリストを、シッパゲース『中世の患者』142. からとった。

1. 固くてこぶができた筋肉、
2. モルフェア(限局性強皮症)の色の皮膚、
3. 頭髪の脱落、
4. 筋萎縮、
5. 麻痺と痙攣、
6. 疥癬、鱗屑、潰瘍、
7. 舌の下や瞼や耳の下のざらざらした腫張、
8. 皮膚の焼けるようなまたは刺すような痛み、
9. 外気に触れる部分の鳥肌、
10. 皮膚が水をはじくこと、
11. 発熱はまれ、
12. 不正直で怒りっぽい人柄、
13. 重苦しい夢、
14. 弱い脈拍、
15. 血は黒くてざらついている、
16. 尿は白く、灰のようである。 

特に医師のみなさま、どうでしょう。この16の診断基準があって、鋭い観察と書物の知識を持っていると、ハンセン病はかなり正しく診断できますか。その診断によって、人はすべての財産と法的人格を失うような、まさしくその人の一生がかかった診断であり、誤診があると、その医者には大きな咎が及ぶという、非常に重大な診断ですが、この16の基準で、どの程度やれますか。