漢方を西洋医学風に理解する

必要があって、田中香涯の漢方論をチェックする。文献は、田中祐吉著 通俗病理講話 第1巻 東京:吐鳳堂,明41

田中祐吉(香涯)は、大正・昭和にかけて医療評論家として活躍した医者である。当時の医療の在り方を批判し、自然治癒力の重視をとなえ、『医文学』なる雑誌を刊行して医療周辺の文化を研究・紹介した。彼の著作で『通俗病理講和』の中に、漢医学を評価する箇所がある。漢方医学を総じて空理空論として批判する中で、吉益東洞については、病気は毒によっておこされ、薬も毒であって、その毒で病気の毒を攻撃するという巻下については、当時の西洋医学の毒素やウィルスの考え方と同じであるといって高く評価し、患者や西洋医にむかって、漢方医学の中でも吉益は考慮に値するということを書いている。