科研費報告会・終了

7月9日・10日にわたり、科研費報告会を、国立ハンセン病資料館の一室をお借りして開催いたしました。一日目に報告6本、二日目に報告4本で、いずれの報告にも、十分な討論時間を持つことができ、充実した会にすることができたと思います。

二点ほど、気が付いたことを。

一つは、多様なバックグラウンドを持つ研究者が一堂に会し、濃密な議論ができたということです。医学の世界の研究者と、人文社会科学の多様な分野の背景を持つ研究者が、医療と疾病の歴史と現代をめぐるいろいろな問題について、ある意味で正直に語り合える場になっています。安直なオプティミズムは危険ですが、科研の共同研究の主題と同時に、それを実現するのに必要な文化を創り出す目標が見えてきました。

もう一つは、場所の設定です。ハンセン病療養所の多磨全生圓に隣り合って建設されたハンセン病資料館が、こころよく共同研究のためにセミナー室を貸し出してくださり、国家と疾病と医学の歴史について考察するのに、まさに理想的なセッティングになりました。 清瀬は池袋からも近く、地下鉄を通じた都心との連絡もとてもよい場所で、医学史のセミナーには、意外に地の利がよい場所となりました。実現のために骨をおってくださった資料館の高野さんや関係者の皆さまにお礼申し上げます。