宮前千雅子「ハンセン病

宮前千雅子「ハンセン病」友永健三・渡辺俊雄『部落史研究からの発信―第三巻・現代編』(東京:解放出版社、2009), 285-298.
ハンセン病史の研究状況のまとめの優れたものとして、人に勧められた。前近代、近代、戦後と、わかりやすく公平にまとめられていて、とても役に立った。中世には黒田日出男たちが「非人」の身分の一つであり、その中核であったハンセン病患者についての研究があったこと。近世については、非人扱いが継続しながら、鈴木則子らが、ハンセン病患者の基本は在宅の病者であったと論じたこと。近代の藤野豊の糾弾的な史観に対し、廣川和花が、その史観に異議を唱えて、たとえば大阪帝国大学の外来治療室などの検討から、さまざまな可能性があったことを論じたこと。