精神病患者の絵画



野村章恒「非定型性診断不明の中酒性精神病の精神病理学的考察」『神経学雑誌』34(1932), 374-398.
精神病患者の絵画研究で著名な野村が書いた本格的な研究。松澤病院に入院した患者が、現在で言うアルコール依存症である「中酒性精神病」の症状であった。たまたまその患者が、名のある画家であったので、患者に絵を描かせて、それを病気の研究に用いたものである。退院後も日記をつけさせ、一か月に一回か二回送らせていること、これは、患者の異常行為を綿密に観察した記録に加えて、全治したあとの患者の追想を照合して精神病理を研究するためである。

この患者は、野村の記述から、どの画家であるかが簡単に特定できた。ちょっと追跡して調べてみようかな。

論文に掲載されていた画像。画質が悪くてごめんなさい。特に、身体が収縮して頭と四肢が中に入って卵のようになり、そこからまた身体が生えてきて仏様になるという主題の連続画が面白い。