1949年の学生性行動調査

朝山新一『現代学生の性行動』(京都:臼井書房、1949)
朝山新一は大阪市立大学の教員で、関西地方の大学予科、高等学校、専門学校などを中心にして男子約700名、女子約300名を選んで詳細な性行動調査を行い、1949年に出版した。この調査には、京都大学の動物行動学のスタッフと協力したとあり、協力者には、今西錦司、梅棹忠雄などの有名人の名前も見える。

ページをめくるのがまだるっこいような面白い本で、しばらく読みふけってしまった。自慰とキスと性交についてだけメモする。自慰は、男子学生のうち経験ありと答えたものが90.8%であるのに対し、女子学生は経験ありと答えたものは9.8%にとどまる。ただ、女子学生の中には回答しなかったものが58.7%存在する。

キス(接吻)は、男子学生が29.4%、女子学生は25.1%が経験している。なお、キス経験率において、女子学生の中で学校別に大きな差があり、9.1%から53.3%までの開きがあった。この学校別の差のために、特定の学校に悪い評判が立つのを恐れて、学校名はこの書物では公開されていない。(おそらく、すでに歴史学者が明らかにしていると思うけれども。)

キスの経験率が男女の差があまりないのに対し、性交については男女の差がかなりあって、男子学生の13.8%が性交を経験しているのに対し、女子学生は4.9%にとどまる。しかし、男性の経験のうち4割以上が接客婦、公娼、私娼といった売春なので、これを除くと男女差は小さくなる。性交の経験ありと答えた男子学生のうち、7人が近親者と関係していて、これはすべていとこである。「肉親」というのが2人いたのでぎょっとしたが、これは、いずれも「あによめ」であるとのことで安心した。いや、安心していいというわけではないのですが(笑) 女子学生の相手のほとんどは学生である。避妊については、女子学生は5割が実施しているのに対し、男子学生は「答えなし」が72.3%で、「考えなかった」が10人、「無関心」が10人であり、「実行した」のは1人である。

同性に性的な興味を持ったと答えたのは男性が132名で19.4%、女性が63名で22.3%で、だいたい同率である。実際に性関係をもったのは、男性が36名で、女性は12名、ただこのうち6名は「S の範囲に入るもの」だから、「軽度の接触」である。