映画『華麗なる対決』

飛行機の中で『華麗なる対決』というフランス製の西部劇のお色気コメディを何気なく観たら、これがおばか映画の傑作の掘り出しもので、とても楽しい気分になれる作品だった。魅力の中心は、ブリジット・バルドークラウディア・カルディナーレという当時を代表する二人の美人女優が、お色気満載のガンマン姿やカウボーイ姿で、列車強盗や荒馬の乗りこなしといった西部劇アクションを展開することである。1971年のフランス映画で、セリフはすべてフランス語の西部劇というところからして、すでにおかしい。英語を話すのはだめだめキャラクターの保安官だけで、保安官はカルディナーレに惚れているから、一生懸命にフランス語の会話本でフランス語を勉強しているけれども、バルドーの入浴シーンを木に登ってのぞいたりもする。

西部劇のグローバル化としては、イタリアで作ったいわゆる「マカロニウェスタン」が有名だけど、フランスの西部劇は初めて見た。土着化された西部劇というのは、イタリア・フランスの他にもあるのかな。日本で同時代に流行し、西部劇の衰退とともに消えていった「時代劇」というのはどうだろうか。『七人の侍』から『砦の七人』へという日本中心主義的なことばかりをよく聞くけれども、日本の時代劇の中のある部分は、西部劇を土着させたものなのかな。それにしては、『水戸黄門』は、西部劇の対極にある価値観を表現しているけれども(笑)。