統合失調症の疫学

Haefner, H., “Epidemiology of Schizophrenia. The Disease Model of Schizophrenia in the Light of Current Epidemiological Knowledge”, European Psychiatry, 10(1995), 217-227.
リューディンや内村が、当時は精神分裂病と呼ばれていた疾患と遺伝の関係を考えるときに、精神病質とか性格異常と言われていたものを算入していたという操作は、現代ではどのように考えられているのかをチェックした。この論文によると、双生児、家族、高リスク者の研究において、スキゾフレニアのジェノタイプは、非定型の精神病、精神病ではないスペクトラムの精神異常などになって現れること、また明確な精神の障害を何も示さないこともあることが分かる。つまり、スキゾフレニアを、正常との明確な区別をもたない連続的なスペクトラムの上にある疾患として理解するべきであることを示しているという。内村やリューディンたちは、やはりそこに断種という「最終的・決定的」と言える性格を持つ法的な行為を考えていたため、スキゾフレニアから出発して精神病質にまでその影響を及ぼしているという方向が強いが、現代では、正常からスキゾフレニアまでの連続を考えていて、そこに精神病質にあたるものをおいている。

この違いにもかかわらず、ハイリスク者を調査するときは、やはりかつては「精神病質」と呼ばれていたような、精神病ではない異常などを呈する人物であると判断し、それを測定しているんだ。これは、誰が、どのような基準で、決めているのだろうか。内村の調査では、基本は、村びとに聞いていたんだけれども。