「五天竺図」法隆寺秘宝展



「五天竺図」法隆寺秘宝展
年を取ると仏教美術や古美術が有り難くなるものだが、今年の法隆寺秘宝展には「五天竺図」が出展されていた。大蔵経を求めて唐から西域を通ってインドに旅行した玄奘の足跡を記した世界地図である。卵型をした図にインドの諸国が描かれ、その図の右端には海の向こうに日本も描かれている。玄奘の『大唐西域記』は中世の法隆寺の僧たちに愛読され、それからこの地図・世界図も描かれたという。同じ時期には、ヨーロッパにおいてもエルサレムを中心にしたO-T型という世界地図が描かれていた。この地図は特にイングランドにおいて多く描かれたという。こういうことを分析する訓練を受けていて、時間が十分にあったら、中世の日本とイングランドの二つの地図をくらべてみたいなあと思うけれども、もう、そういう研究もあるんだろうな。

画像は五天竺図と、ヘレフォードのマッパ・ムンディ。