「座談会 被占領心理」(1950年)

丸山真男竹内好前田陽一島崎敏樹篠原正瑛「座談会 被占領心理」『展望』1950 年8月号、48-63.

1950年にGHQによる占領がちょうど5年になったこともあり、丸山真男と精神科医の島崎敏樹、それにドイツ、フランス、中国の文化や思想を研究する学者・知識人たちによる座談会が開かれて、そこで「被占領心理」が語られた。1950年の段階で当時の若きインテリたちが何を考えていたかが垣間見えて面白い。島崎は、随所に面白いことをいうが、総じて日本民族の非西欧型の心理を未熟さの枠組みで捉えて教科書的なことを言っている局面が多かった。これは、やはり戦争に負けて時間もあまりたっていないころだから、まあ分かる。 

しかし、座談の主人公はやはり丸山で、日本にとって占領されたということは何を意味するのかということを深く考えてきたことがよく分かる。島崎が、アメリカの日本占領は、日本にとって一方で抑圧であったと同時に解放でもあった、しかし戦前の日本による中国占領は、解放の修辞を伴っていたが実は抑圧であった、と語ることは、まったく正しいが教科書的である。それに対して丸山が、日本の民衆は占領を運命的なもの、なかば必然的なものとみて虚脱感と諦めをもって受け入れたという。島崎がそれを自由的態度の欠乏、他力的な生存の仕方、家族的な小世界よりも広い視野への無関心と決めつけるという流れである。