映画『戦争神経症』(1917)の分析

Edgar Jones, “War Neurosis and Arthur Hurst: a Pioneering Medical Film about the Treatment of Psychiatric Battle Casualties”, Journal of the History of Medicine and Allied Sciences, 67, no.3, 2011: 345-373. 1917年に作成された医療映画「戦争神経症」についての本格的な研究。医療関連映画の歴史研究も本格化していて、さまざまな概念装置を用いた研究ができることを実感できる素晴らしい研究である。 もともと神経症の特に運動系の症状を記録していつでも見ることができるようにすることを狙っていたこと。 当時の人気映画『ソンムの戦い』の影響があり、その疑似戦闘シーンをまねていること、治療前―治療後の形をとっているが、そのあるものは「やらせ」の形をとっており、回復した患者に消失した症状を再現させていること。 ドイツの医学映画は英米仏に較べて遅れていて、それに追いつこうとしたこと、マックス・ノンネの有名な戦争神経症を催眠術で治療するフィルムのその産物であること。 ハースト個人の治療法などについての業績という側面が強く出ていること。 この作品は全編をオンラインで見ることができる。ウェルカム図書館の人気No.1 とのこと。 http://bit.ly/1882XAU イギリスのパテ社のアーカイヴにもう一つの戦争神経症についての短編があるとのこと。 http://bit.ly/199a1h2