中村江里「日本帝国陸軍と『戦争神経症』」

待ち望んでいた論文である、中村江里「日本帝国陸軍と『戦争神経症』」を頂く。『季刊 戦争責任研究』の81号(2013年冬季号)に掲載された論文。アジア・太平洋戦争中の日本の戦争神経症についての、本格的な歴史研究を開拓する非常に重要な論文である。まだ詳しく読んでおらず、すぐにここで論評する予定だが、多くのことを学ぶことは間違いない。

 

一つ、ご報告を伺ったときから、非常に面白データについてだけ短くコメントさせていただく。55ページに掲載されている、1942年から45年にかけての日本陸軍の精神疾患の数について。日本陸軍の戦争期間の戦病者全体が791万人、うち精神病が23万人、その他の神経病が46万人という数値である。 著者の中村もこの数字についての疑問を提示しているが、この数値は、どの程度信頼していいのだろうか。