シンポジウム「痛みの文化史」

日時  10月25日(土)午後2時 ~ 午後6時
明治大学駿河台校舎リバティータワー12階(1123番教室)
午後2時から午後6時

キャンパスへのアクセス
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
キャンパス内マップ
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html

以下は、シンポジウム「痛みの文化史」概要です。

「痛み」とは何か。からだの痛み、こころの痛み、
突発的な痛みから慢性的な痛
みまで、痛みはさまざまな形で認識され、経験され、語られている。 痛みはと
きには、わたしたちの生命や生活を脅かすことによって、生とは何かという問題
をも突きつける。この根源的で経験的な「痛み」は、社会のさ まざまな側面と
密接に連動する、歴史的な問題でもある。
こうした問題関心から、シンポジウム「痛みの文化史」は16世紀~20世紀イギリ
スにおける「生きられた痛み」を探究する。わたしたち6名は、 2012年から共同
研究としてこの課題に取り組んできた。この度、イギリス史研究会において報告
の機会をいただき、下記の3つの個別報告をつうじ て、イギリス史における「痛
みの文化史」の可能性を問いたい。なお、メンバーは今回取り上げる殉教(17世
紀・那須敬)、救貧活動(19世紀・金 澤周作)、医療(20世紀・高林展陽)に
加えて、魔女(17世紀・後藤はる美)、女性(18世紀・赤松淳子)、動物(19世
紀・伊東剛史)の観点 から、近世・近代イギリスにおける「痛み」の問題に接
近している。

痛みの歴史への注目は、欧米における感情史のめざましい進展(「感情論的転
回」)とも呼応するものである。わたしたちは、「痛み」を感情とみな せるの
か、あるいは感情/痛みとは何かを、各自の時代とテーマのなかで問いかけなが
ら研究に取り組んできた。本シンポジウムは、本質主義と構築主 義、文化相対
主義の方法論的な問題を批判的に考えながら、「痛みの文化史」の課題と射程を
明確にするためのひとつの試みでもある。
(伊東剛史・後藤はる美)

プログラム

趣旨説明
報告1 高林陽展「近現代イギリスにおける痛みの医学史-人間身体の神経学的
理解の確立」
報告2 金澤周作「救済に値する痛みとは何かー19世紀のbegging行為を切り口に」
報告3 那須敬「受難と正義ー17世紀の身体・宗教・政治」


参考文献
D・B・モリス(渡辺勉監訳)『痛みの文化史』(紀伊國屋書店1998年)
ピーター・バーク(長谷川貴彦訳)『文化史とは何か』(法政大学出版会、2008
年、《増補改訂版2010年》)
Rob Boddice (ed.), Pain and emotion in modern history (London, 2014)