『日米会話手帳』を読んでみました

朝日新聞社. 『日米会話手帳』はなぜ売れたか. 朝日文庫. 朝日新聞社, 1995.
 
昭和20年に売り出して、3か月で300万部を売りきった、幻と伝説のベストセラーの『日米会話手帳』についての本を買った。多少の回想録と思い出などがついているが、やはり目当ては、原文36頁の写真版である。アイデアの原型になったものとして英語の本が参照されているが、実際は、大東亜共栄圏で売り出していた会話マニュアルで、日本ー中国もの、日本―タイものなども参考にされているという。英語に訳したのは、東大の院生で西洋古代史の研究者であった板倉勝正という学者だったとのこと。
 
書物としては、店、道、駅での会話を想定した場面が非常に多い。店でちょっと買い物をして、道で行き先を聞いて、必要であれば電車か汽車に乗るときの場面でどんな会話が必要かという設定である。ちなみに、アメリカ人が行きたがる場所の一つが Gay-quarters で、これは「慰安所」と訳されている。gay という単語は色々な意味があるし、今から70年前のアメリカ英語とかイギリス英語とか実際難しいが、これは念のため辞書を引いてみて、花街の意味があることを確認した。アメリカ人が gay quarter に行きたがったのか、大東亜共栄圏の日本人が慰安所に行きたかったのか、そこは調べてみないと分からないけど。