「世界で一番幸せな人物」と、休み休み仕事をすること

ツイッター経由で探した記事。「なんで休みなく働いている人が偉いの?」というタイトルにつられて読んでみた。大切なことだから書いておく。

多くの学者は、「世界で一番幸せな人物」になったことが人生で数回ある。すべての時間を注ぎ込んで、渾身の力を込めて発表した独創的なペーパーが成功した時。何十倍かの競争の中で、他の誰でもなく、自分が常勤の教員として選ばれて採用されたとき。栄誉ある学術賞を受けたとき。私の先生は、そういうときの若い学者を「世界で一番幸せな人物」と呼んでいた。私自身にもそういう瞬間が何回かあった。私はそのことを誇りにしている。他の若い学者にそういう成功があったときには、心を込めて祝福する。

しかし、なんて危険な仕掛けなんだろう。これらの成功は、すぐに、形骸化して、空虚なものになり、人生そのものを雲散霧消させる黒い罠である。成功して高く評価されたため、仕事を頼まれる、栄誉なことだし、虚栄心が満足するから引き受ける。その結果、自分が処理できるよりはるかに多い仕事を引き受けて、人生が支離滅裂になる。そして、もっと致命的なことに、その学問が支離滅裂になっていく。

でも、世界で一番幸せな人物になろうとする努力を、否定できる学者は少ない。それを求める志向と、学問の水準を維持する志向の二つを両立させることが、水準が高い学問を確立して維持するための義務だと思う。だから、私は、休み休み仕事をするようにしている。この大切なことに気が付くのが、少し遅かったのかもしれないけれども。

 

 

 

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