Bynum Prize 2016 annoucement - Global Health Histories, The University of York
雑誌 Medical History が主催している、William Bynum Prize. 投稿された論文の中での新人賞である。受賞論文はミュンスター大学の David Freis , 次点がエクゼダー大学の Angela Muirによるもの。 受賞論文の主題は、第一次大戦を始めた戦争責任に関して、当時のドイツ皇帝の精神状態をめぐる論争の分析であり、次点論文は、18世紀の母親による胎児殺しの問題である。前者は、ドイツ語はもちろん、フランス語やイタリア語による議論を英語の論文にまとめた国際的な論考であり、後者は、ウェールズの地方文書館の史料の緻密な分析である。国際性と地域性の二つの方向性に、受賞と次点が与えられたこと、その順位は問題にせず、とても重要なことだと思う。
日本の医学史は、国際性と地域性という二つの方向性をいまよりもはるかに強く意識するべきだろう。どちらについても、研究者は実力を磨くべきであるし、若い研究者は、いずれも必須の力であると考えるべきだと私は思う。